"父の形見をゴミと笑った夫と五十億円の引導" 第23話
そして、傍らにつ京子さんに向かって、静かに顎で図を送った。
京子さんが元の端末のボタンを押すと、応接のな扉が勢いよくかれた。
で待していた黒の警備員たちが、数名、部のへ無言で崩れ込んでくる。
「その男たちを、直ちに敷へつまみしなさい」
京子さんの徹な指示がぶと、警備員たちは郎社と志の両脇を乱暴に掴みげた。
「いや、やめてくれ!希、頼む!話を聞いてくれ!」
志は必にをばたつかせ、私に向かって絶叫し続けた。
しかし、私は子にく腰掛けたまま、彼に瞥もくれなかった。
彼がどれほど泣き叫ぼうと、私ののたいりと決断が揺らぐことはない。
彼はそのまま警備員たちに引きずられ、応接の扉の向こうへと消えていった。
「おなんか本当に底辺のゴミだ!」
廊から響いていた志の最の断末魔のような叫びも、扉が閉まると同に完全に遮断された。
広な応接には、い静寂が残された。
田部をはじめとする役員たちが、私に向かって斉にくをげる。
「希様、見事なご決断でした」
京子さんが誇らしげな笑みを浮かべて、私に声をかけた。
「これで彼らとの因縁は、完全に断ち切られましたね」
「ええ。父が残してくれたこの力で、彼らのっぺらい世界を砕することができました」
私はテーブルのに置かれた黄の鍵にそっと触れ、さく息を吐きした。
10私を縛りつけていた鎖が、音をてて砕け散るのをじた。
彼らはもう度と、私のにち入ることはできない。
私は過の屈辱から完全に解放され、絶対な支配者としての最初の制裁を執し終えたのだ。
あの応接での完全な決着のから、2週が経過した。
私は総本部ビルの最階にあるオーナーで、穏やかな午の差しを浴びていた。
静かなノックの音が響き、京子さんと共に田部が入してくる。
田部のには、最終な事処理の結果をまとめたいファイルが握られていた。
「希様、京の通信設備会社に対する全ての法続きと回収処理が完しました」
彼はデスクのにみると、ファイルを私の元にそっと置いた。
「ご報告します。郎社の会社は、当グループからの50億円の違約請求に耐えきれず、昨付で破産続きを始しました」
堅企業だった彼らの会社は、たった2週で跡形もなく消滅したのだ。
「社員たちの再就職支援については、当グループの関連会社で引き受ける配をえております」
田部は類を指差した。
「志の正に巻き込まれただけの無実の社員たちを、に迷わせることはありません」
その報告を聞き、私はく堵の息を吐きした。
私が罰を与えたかったのは、真面目に働く々をい物にしていた寄虫だけだ。
「それで、志本はどうなりましたか?」
私が静かに尋ねると、田部はファイルの次のページをいた。
「彼は応接からつまみされたそののうちに、正式に懲戒解雇されました」
田部は淡々と報告を続けた。
「さらに郎社は、会社の倒産責任を全て彼の横領為にあるとし、彼個に対して巨額の損害賠償請求訴訟を起こしました」
志は会社を追いされただけでなく、50億円という絶望な負債の矢面にたされたのだ。
「当然ながら、社令嬢のリナさんとの再婚も完全にとなりました」
田部はし声のトーンを落とした。
「彼女は交流サイトのアカウントを削除し、彼からの連絡を全て着信拒否にしているそうです」
さらに、と田部は付け加えた。
「婚約破棄に伴う精神苦痛として、彼女の親族からも額の慰謝料を請求されています」
田部の淡々とした説が、志の完全な破滅を浮き彫りにしていく。
自分を偉なエリートだと信じて疑わなかった男は、瞬にして全てのろ盾を失った。
「彼は現、自己破産の申請をおうとしていますが、悪質な横領が原因であるため、免責が認められる能性は極めていです」
田部は断言した。
「かかっても返しきれない莫な借を背負い、融関のブラックリストにも登録されました。