"3200万円を隠した姑と「養ってやる」の夫" 第9話
気づいたおがせば済む話だろう!」
私はたく言い放った。
「私も今はしません」
夫は舌打ちをして、ソファにドカッと座り込んだ。
夫は卓のに目をやった。
そこには私の分のお茶しか用されていない。
「俺の飯は?」
私は答えた。
「昨の分担表にいた通りです。今は曜なので各自で用するです」
夫はで笑った。
「本気で言ってるのかお。俺が仕事で疲れて帰ってきてるのに、飯も作らないつもりか」
私は無言のまま、夫を見つめ返した。
夫は私を睨みつけながら、笑いを浮かべてこう言った。
「勘違いするなよ。おがこので偉そうにできるのは、俺が養ってやってるからだぞ」
その言が、私の胸の奥にく鋭く突き刺さった。
「養ってやっている」。その言葉の裏にある圧倒な見し。
私は、会社で必に働き続けてきた。
にこのを買ったも、私と夫のペアローンで組んだ。
毎のローン返済は、私の座からも正確に引き落とされている。
費も費も、私が半分以を負担してきた。
それなのに、夫ののでは私を「養ってやっている」ことになっていたのだ。
私は湯呑みを握るに力を込めた。
いお茶の温度が、え切った指先に伝わる。
しいというよりも、あまりの理尽さに全の血が逆流するような覚だった。
反論することはいくらでもできた。
通帳を持ってきて毎の引き落とし額を突きつけることもできた。
しかし、私は唇を噛み締め、言葉をみ込んだ。
もし今私がここでに言い返してしまえば、夫は自分の嘘を隠すためにさらに姑息な段にるはずだ。
千百万円の隠し財産との売却計画、それを完全に暴き、逃げを塞ぐまでは、私は絶対にを見せてはいけないのだ。
私は静かに線を落とし、ただ黙ってち尽くした。
夫は私の沈黙を、自分が言い負かしたのだと勘違いしたのだろう。
「分かったらさっさと俺の飯を作れ。それからゴミもまとめておけ」
そう吐き捨てると、夫は嫌を直したようにちがり、階の寝へとがっていった。
私は残されたリビングで、ゆっくりと息を吐きした。
臓の鼓が痛いほど速く打っている。
「養ってやっている」。その言葉が何度もので響き渡った。
私のの努力は、彼にとって何のもなかった。
私はただの都の良い政婦であり、ローンを払わせるための財布だった。
その事実が私のを完全にえ切らせた。
もうこの男へのは、ミリも残っていない。
午。
夫がシャワーを浴びるためにバスルームへ入っていった。
リビングのソファには、夫が脱ぎ捨てたスーツの着とスマートフォンが置かれている。
私はふとそのスマートフォンに目をやった。
画面は真っ暗で静まり返っている。
しかし数分、ブブッとい振音が鳴った。
画面がるくり、通の通が表示された。
私は息を殺してソファにづいた。
画面に表示されていたのは、LINEのメッセージだった。
送り主の名は『吉川』とだけかれている。
今の昼、夫の帳に挟まっていた名刺のコンサルタントと同じ名字だ。
私はポップアップで表示されたそのメッセージの最初の数を、はっきりと読み取った。
『査定が完成しました。奥様にはまだ内緒ですよね。次はいつ会えますか?♡』
私の線が画面のでピタリと止まった。
産の査定報告に「次はいつ会えますか」という言葉は必だろうか。
しかもその文末には、自然なほど赤いハートの絵文字がつ付けられていた。
夫の嘘は、おとだけではなかった。
私の元から、さらなるいがをけているのをじた。
そして私は、この「吉川」という女性の名をどこか別の所で確かに見たことがあるといしたのだ。
吉川。その名に私は確かな見覚えがあった。
数、夫の会社の忘会の写真に写っていた、若い女性社員の名だ。
当の夫は「しく入った吉川だ。産の資格を取るためにうちの部署に向してきている」
と話していた。
私が末に賀状の宛名きを伝っていた、その名があったことを覚えている。