"雑炊を疑った息子とノロ陽性の判定" 第22話
「検査の結果がましたよ。」
医師は1枚の検査報告を健太のに置きました。
そこには赤字ではっきりと「ノロウイルス 陽性」と印字されていました。
健太は目を丸くし、報告をに取りました。
「嘘だ。俺、今は全然元気なんですよ。」
健太は抗議しました。
「もないし、痢もとっくに治まってます。」
医師は静に答えました。
「それが番厄介なんですよ。」
医師は説しました。
「の、症状が治まってもウイルスは数週便のに排され続けるんです。」
医師のややかな言葉が健太の胸に突き刺さりました。
「あなたは無自覚なままウイルスをばらまいていた。」
医師は事実を突きつけました。
「先ほど保健所から当院に連絡がありました。」
医師はさらに続けました。
「民病院の集団染と、あなたのウイルスの遺伝子型が完全に致したそうです。」
健太は凍りつきました。
「完全に致。」
医師は頷きました。
「ええ。」
医師は宣告しました。
「あなたが今回の病院での集団染の、最初の発源であると特定されました。」
らかになった染源。
その言葉は健太の残された最の希望を々に打ち砕きました。
もう偶然だ、の誰かだという言い逃れは切通用しません。
科学なデータが彼を確な加害者として認定したのです。
「そ、そんな。俺はどうすれば。
」
健太は狼狽えました。
「どうするも何も、保健所の指導に従って自宅待です。」
医師はたく言いました。
「ご族への染を防ぐため、ご自宅のトイレの消毒は徹底してください。」
医師はため息をつきました。
「尤も、今回はその洗いが分だったからこんな問題になったわけですがね。」
医師の言が健太のっぺらいプライドをくえぐりました。
のが洗いという基本な管理すらできていないと、プロの医師から呆れられているのです。
健太は何も言い返せず、ただ俯くしかありませんでした。
「あなたの勤務先にも、すでに保健所から連絡がっているはずです。」
医師は告げました。
「社内の消毒作業が終わるまで社はできませんよ。」
会社での居所も失い、病院での妻からの信頼も失い。
そして母親からの資援助も絶たれた。
健太は自分の元にあったはずの定した活が、音をてて崩れ落ちていくのをじていました。
クリニックをた健太は、夕暮れのを力なく歩いていました。
たいのが彼のスーツのを吹き抜けていきます。
スマートフォンを取りし、画面を見つめました。
誰かにすがりたかった。
誰かにおは悪くない、運が悪かっただけだと言ってほしかった。
しかし健太の連絡先には今、その言葉をかけてくれるは1もいませんでした。
健太は震える指で美咲の番号をタップしました。
妻ならもしかしたら、子どもがまれたばかりなのだから、自分を見捨てるはずがない。
俺たちは族なんだから最は許してくれるはずだ。
そんな浅ましい期待が彼のをかしていました。
コール音が虚しく響きます。
やはりてはくれません。
健太は諦めて通話を通話ボタンを切ろうとしました。
その、通話が切れた直に美咲から通のいメッセージが届きました。
健太は慌てて画面をきました。
配してくれてるのかな。
そんな彼の甘い期待は、画面に表示されたたい文字によって完全に裏切られました。
『退院したら子どもと緒に実に帰ります。あなたとは同じには帰れません。』
たったのメッセージ。
そこにはりやしみといったすらありませんでした。
ただ1のとしての完全な拒絶がありました。
健太はの真んでち尽くしました。
周囲を通り過ぎる々は誰も彼に見向きもしません。
「俺が何をしたって言うんだよ。」
健太は呟きました。
「し腹を壊しただけじゃないか。」
健太のからけない声が漏れました。
しかし、誰も答えてはくれません。
彼が失いかけているものはおや仕事だけではありませんでした。
族という帰るべき所そのものを、自らので破壊してしまったのです。
その夜、健太は誰もいない暗いマンションに1で帰りました。