"不妊扱いされたサレ妻と、91歳の秘密" 第6話
しかも、さやかは——」
私の厳しい追及を遮るように、信弘はを抱えて激しく首を振った。 しかし、狼狽していたのはわずか数秒のだけだった。 追い詰められた男が次に取った態度は、謝罪でも弁解でもなく、を疑うような醜悪な居直りだった。
「あー、もう! うるせえ、うるせえ! バレちまったんなら、もう隠す必もねえや!」
信弘はテーブルを掌でバンと叩き、私を睨みつけてき直った。
「そうだよ! 写真の通りだよ! だいたいな、妊の欠陥品のくせに、これくらいのことで目くじらててんじゃねえよ! 夫がで何しようが、広いで受け入れるのが甲斐性ってもんだろ!」
「……は? 欠陥品……?」
あまりの暴言に、今度は私が絶句する番だった。信弘は唾をばしながら、気揚々と語り続ける。
「さやかちゃんはな、おより歳も若くてまだ歳なんだよ! 素直で、甘えで、俺をててくれて、最にいんだよ! だから……俺の子供も、すんなりあいつのお腹に来てくれたんだろうなァ!」
「……子供が、お腹に……? ちょっと待ってよ……どういうことなの!?」
私の胸に、が直撃したかのような衝撃がった。 信弘はニヤリと卑た笑みを浮かべ、胸を張った。
「言葉通りのだよ! さやかちゃん、俺の子を妊娠したんだよ! これで黒はっきりしただろ! 俺たち夫婦のにも子供ができなかった原因は、俺じゃなくて、全部お——けい子にあったってことだよ!」
「嘘……でしょ……?」
「嘘なわけねえだろ! 本当はな、先にきちんとおと婚届を役所にして、すっきり別れてからサプライズで『さやかちゃんが妊娠したんだ』って教えてやろうとってたんだよ。まあ、バレちまったんなら順番が逆になっただけで好都だ。そういうわけだからさ、さっさと俺と婚してくれよ」
倫理観の欠片もない、常軌を逸した提案。 実の妻の妹を妊娠させておいて、「サプライズで教えてやろうとった」などと、どうしてこれほど軽々しくにできるのか。 信弘の常識のなさと浅はかさに、私は言葉を失い、ただ呆然とち尽くすしかなかった。 そんな私の沈黙をどう受け取ったのか、信弘はさも自分が分別のある常識であるかのように、やれやれと首を振って溜息をついてみせた。
「おいおい、の回転が追いついてないのか? いいか、よく聞けよ。そもそもおが妊じゃなかったら、俺だってさやかちゃんと子供を作ろうなんてわなかったんだよ。俺に浮気をさせたのも、庭を壊したのも、全部おが子供を産めない体だったせいなんだからな。分かるか? 原因はおにあるんだよ」
「……私が妊だと決めつけて、易に妹と子供を作るような為にったってわけね」
「決めつけじゃねえよ、かぬ事実だろ! 俺とさやかちゃんが関係を持つようになってから、たった半だぞ? たった半で発妊娠だ! 俺の殖能が優秀だってことの、何よりの証じゃないか!」
自らの貞為と裏切りを、誇らしげに胸を張って語る信弘。 この男の瞳には、かつて私がし、を添い遂げようと誓った夫の面など微も残っていなかった。 そして、実の妹であるさやか。姉の庭に平然と入り込み、夫を寝取って子供を作った妹。 私ので、に対するの糸が、プツリと音をてて完全に切れた。
「……分かったわ。こんなことになった以、もちろん婚に応じるわ」
「おお、やっと理解できたか! 物分かりが良くて助かるよ」
信弘はを叩いてんだが、すぐに釘を刺すように眉を吊りげた。
「ただしな! 婚したからって、俺に未練たらしく何度も復縁の話をかけてきたり、さやかちゃんのところに乗り込んで嫌がらせをしたりするなよ! 惨めなババアの嫉妬は見苦しいからな!」
「するわけないでしょ。……それより、おばあちゃんの介護はどうするの? 当然、実の孫である信弘が全部でるのよね?」
私の問いかけに、信弘は底嫌そうな顔をしてを鳴らした。
「はあ!? 無理に決まってんだろ! 誰があんなボケ老の面倒なんか見るかよ! 俺はこれから、代のピチピチした若い嫁と、まれたばかりの赤ん坊と、キラキラしたるい庭を築くのに忙しいんだよ! そうだ、けい子は妊で、これから先も子供を産めない孤独なを送るんだろ? だったら、ばあちゃんを連れて緒にていけよ。