"出来が良すぎるという理由" 第15話
伏せられた原稿
分の沈黙が、属のように部に沈殿していた。
私は元のページの形図を見つめた。
徹夜でき殴り、自分の正当性を証するために積みげた、緻密な自己弁護の。
これを使えば、黒澤のの赤字を暴き、自分がいかに優れているかを役員ので弁することはできただろう。
だが、今朝、区の古い文具で見た葵の顔が脳裏かられなかった。
『私にとっては、とっくにどうでもいい昔の話なんです』
のいつきを誇りにしてきる男と、それを盗んでいないと言い張るために必に武装する私。
どちらも、自分のさな自尊を「オリジナリティ」という都のいい言葉で飾りてていただけではないのか。
「神、だ」
森が催促するように指の関節で机を叩いた。
「サインしろ」
私はボールペンを置いた。
そして、目のにあったページの形図の束を両で持ちげると、全員の線ので、ゆっくりと裏返しに伏せた。
い裏表だけが、テーブルのに晒される。
「……何をしている」
森の眉がねがった。
私は背筋を伸ばし、森常務の目をまっすぐに見据えた。
「森常務、寺崎さん。この覚にはサインできません」
部の空気が、ピシリと凍りついた。
寺崎が信じられないものを見るように目を見き、羅がさく息を呑んだ。
「神、自分が何を言っているのか分かっているのか?」
寺崎が声を荒らげた。
「おのを守るために、常務がわざわざ用してくださった折衷案だぞ! これを蹴れば、おは規事業からされるだけじゃない。会社に対するな反抗と見なされて——」
「っています」
私は寺崎の言葉を遮った。
声は掠れていたが、議なほど臓は落ち着いていた。
「もし、役員会が私に求めているのが『この企画は百パーセント、おのからまれた純粋なオリジナルか?』という問いなら、私の答えはノーです」
黒澤の肩が、微かに揺れた。
「私はの研修マニュアルの百ページにあった、名も載っていない失敗事例の図を見ました。記憶からは消えていましたが、今回の企画の骨組みは、違いなくあの図から始まっています。私はゼロからこの企画を産み落としたわけではありません。そこにある黒澤さんのの失敗の残骸を、無識に拾いげました」
森が無表のまま、たい線で私を射抜いていた。
「なら、黒澤の申して通り、盗作だと認めるのか」
「いいえ、違います」
私はテーブルのに伏せたページの資料を、差し指でく叩いた。
「骨を拾ったのは事実です。ですが、そこに最のインフラを通し、ヤマト品の法務を納得させるリスク管理を組み込み、今の代のユーザーがく血肉を与えたのは、私です。
〇にんだアイデアを、〇のきたビジネスとして成させたのは、私の仕事です」
私は黒澤の隣に置かれた覚を指差した。
「ですから、私は名義をめるような連名表記は拒否します。『先輩の指導のおかげ』という美談で誤魔化された最優秀賞なんてりません。もし、の失敗を継承した企画にオリジナルの価値がないと会社が判断するなら、今すぐ私の最優秀賞を取り消してください」
「神……!」
寺崎がちがりかけた。
だが、その、これまで度もをかなかった男が、ゆっくりとを挙げた。
「待て」
黒澤だった。