"正月の食事会で義母に印鑑を求められ、仲居から「逃げて」のメモ" 第10話
先が顔をげた。
「森田さん、ご主がいらっしゃいました」
先の言葉と同に、会議のドアがゆっくりといた。現れた俊は、料亭ので見たよりもひどく疲れた顔をしていた。彼は私と目をわせず、対面の席に逃げるように座った。
俊の線が、テーブルの央にある2つの封筒で止まる。そのが何であるか、彼はまだ正確にはらされていないはずだった。沈黙が会議を包み、窓を打つの音だけが響いていた。
先にをいたのは、弁護士の先だった。先は事務な声で言った。
「本はお元の悪い、ご労をいただきありがとうございます」
先は俊を見た。
「本はあの料亭で用されていた類についての事実確認をいます」
先のたい声に、俊はビクッと肩を震わせた。そして、ようやく顔をげて私の方を見た。俊は絞りすように言った。
「ごめん」
その言に、私はしだけ眉をひそめた。
「何を謝っているの?」
俊は再び線をテーブルの封筒へと落とした。俊は消え入りそうな声で言った。
「あの、別に類があることをっていた」
俊はうつむいた。
「だから、騙すような形になって本当にごめん」
彼は事に教えなかった順の悪さを謝っているようだった。私はテーブルののBの封筒を指差した。私はややかに説した。
「この封筒のには、あなたにとって非常に利な条件がかれた婚協議が入っていました」
私は俊を睨みつけた。
「私が建物の担保提供を断った、これを使って私をから追いす計画だったようです」
俊は弾かれたように顔をげ、目をきく見いた。
「婚の類も入っていたの?」
俊は信じられないという顔をした。
「そんなこと、俺は本当に聞いてない」
俊は慌てて首を振った。
「母さんはただ、担保の話をもう度するだけだと言っていたんだ」
彼の驚きは演技ではなく、からのものに見えた。義母は俊にすら、婚という段を隠していたのだろう。私はさく息を吐いた。
「そこまではらなかったのね」
私はAの封筒を見た。
「でも、このAの封筒に入っている7500万円の保証のことは」
私は再び俊を見た。
「そして何より、私が何もらない状態で別に連れ込まれることは」
私が問うと、俊は言葉に詰まった。い沈黙が落ちた。彼は目をく閉じ、く息を吐きした。俊はうなだれたまま言った。
「保証のことはってた」
俊は顔をげられないでいた。
「君が何も聞かされていないことも分かってた」
その言葉を聞き、私ので彼への最の期待が完全に消えった。私の声は自分でも驚くほどたく、静かに響いた。
「そこだよ、俊」
俊はで話し始めた。
「でも、俺だってどうしていいか分からなかったんだよ」
私は彼の言葉を遮った。
「何のが何枚用されていたかなんて、どうでもいいの」
私は真っすぐに彼を見据えた。
「私だけが目をらないまま、専まで待している密に入ることをあなたはっていた」
私は正の事の様子をいした。
「あなたは事、ずっと黙ってばかりんでいたでしょう」
俊は私の真っすぐな線に耐えきれず、再び顔を伏せた。俊は言い訳をねた。
「42の社員の活がかかってるんだ」
俊は々しい声で続けた。
「母さんにそう言われて、俺は君を説得するしかないとい込んでいた」
またしても彼ののひらには、社員という言葉の盾が握られていた。私が尋ねた。
「42の仕事が危ないって。それは本当に事実なの?」
俊はすがるような目で私を見た。
「本当だよ。母さんがそう言ったんだ」
私は静に問い詰めた。
「会社の数字や詳しい資料は、全部見たの?」
俊は言葉を濁した。
「いや、全部は」
またしても彼は線を泳がせた。
「母さんがそこまで言うなら、本当に倒産寸なんだろうって」
私はため息をつき、しみが混ざったを吐きした。
「つまり、あなたは自分でも内容を確認していない話を信じ込んでいたのね」
私は静かに断罪した。
「そして、あなた自もよくらない借の類に、妻の私を騙して署名させようとした」
俊はもう何も言い返すことができず、ただくをげた。