"正月の食事会で義母に印鑑を求められ、仲居から「逃げて」のメモ" 第16話
彼は私をしていなかったわけではないけれど、母親の圧力から私を守るほどの覚悟を持っていなかったのだ。
母親を失望させる恐怖と、妻を裏切る恐怖を秤にかけ、最終に彼は波のたない方を選んだ。その事実をにしては、過のどんなに美しいいも、結婚活を継続するための理由にはなり得ない。
私は陳述の最のくだりをき終え、静かにペンを机のに置いた。彼への未練を完全に断ち切るためのこの作業は、私自のを理するための切な儀式だった。
そのの午、私は気分転換にへて、自分の所する賃貸建物の周囲をゆっくりと歩いた。1階には母のまいがあり、の5にはくんでくださっている入居者の方々がいる。
祖母が残してくれたこのさな建物は、結婚から私名義になっている切な特財産だ。し古びた壁を撫でながら、私はこれが私にとって自と全を象徴するなのだと再確認した。
義母はあの、この建物を7500万円という莫な個保証の担保として差しさせようとした。
「でいいから」という軽い言葉で、私のの全網を奪おうとしたのだ。
義母は、私が俊の説得にく、くれば最は折れると甘く見ていたのだろう。もし私が桜井さんのメモを見逃し、族だからという言葉に流されて別で署名していたら。
今頃この建物は義母の会社の借のために抵当権をつけられ、母の穏やかな活も脅かされていたことだろう。自分ので席をち、へたからこそ、私はこの当たりの景を守り抜くことができたのだ。
庭の入れをしていた母が私に気づき、優しく微笑みかけてくれた。
「叶恵、し寒くなってきたから、そろそろに入って温かいお茶にしましょう」
私は笑顔で答えた。
「うん、今くね」
母の変わらない温かい声を聞き、私は自分が正しい選択をしたのだとく、静かに実した。もう義母の顔を伺って怯えることも、夫の無責任な沈黙に傷つくこともない。
私は自分ので歩き、自分のを誰にも譲ることなく守り抜く決を完全に固めた。
数、再び弁護士の先から、し緊迫した声で話がかかってきた。さんが配した部会計チームの初期調査の報告が、ついにがってきたとのことだった。
『森田さん、お義母様の会社の財務状況について、最初の見てがました』
先の真剣な言葉に、私はスマートフォンを持つにしだけ力を込めた。先は報告を始めた。
『産事業そのものの苦境にあることは、どうやら事実だったようです』
先は理由を挙げた。
『建設費の騰や空の増加、利の昇により、事業の資繰りが悪化していたのは違いありません』
私が尋ねた。
「では、やはり42の社員の活がかかっていたというのは、本当だったのでしょうか?」
先は話の向こうでく、しかしい息を吐きした。
『いいえ。事態はもっと複雑で、そして刻です』
先のその言葉に、私はわず息をんだ。
『産事業の振だけであれば、これほど急激に致命な資に陥ることはありません』
先は核に触れた。
『専が帳簿を精査した結果、通常の事業とは全く無関係な解な資の流が発見されました』
先の声がくなった。
『それは、お義母様が役員会にも秘密裏にっていたもののようです』
私は驚いて聞き返した。
「解な資の流ですか?」
先は答えた。
『はい。しかもその額は、な補填でどうにかなるような規模ではありませんでした』
義母がどうしても部のを会社に入れたがらなかった本当の理由。42の社員という美しい盾の裏側に隠されていた、見過ごすことのできない自然なおのき。
それがついに、酷な数字の証拠となって姿を表そうとしていた。私は静かに目を閉じ、先が語る次々の事実を待った。3の旬、私は百法律事務所の応接に座っていた。
テーブルには、さんが配した部の会計専チームによる報告が置かれている。