"正月の食事会で義母に印鑑を求められ、仲居から「逃げて」のメモ" 第18話
「許せない」
夫の裏切りをったとは違う、たくて鋭いりが腹の底から湧きがってくる。社員のためという義名分を振りかざしながら、実際には社員の命綱を自分の都で切り刻んでいたのだ。
こんなにも勝で酷な嘘を、私は決して許すことはできない。あの、夫の俊は「母さんは会社を救うために必なんだ」と泣きそうな顔で私を説得した。
彼もまた母親の嘘に気づけないまま、愚かな先として妻を追い詰めていたのだ。自分で事実を確認することもなく母親の権威にひれ伏し、私の尊厳を平気で踏みにじった。
顔をげると、先は私の静かなりを真正面から受け止めてくれた。先は言った。
「さんもこの調査結果を見て、激しいりをわにされていたそうです」
先はさんのを代弁した。
「彼もまた内として母親の言葉を信じたい気持ちがあったのでしょうが、数字は嘘をつきません」
先は現状を伝えた。
「現さんはお義母様に対し、この資が体どこへ、誰のために流れていたのかを問い詰めています」
先は報告のページをめくった。
「お義母様はまだ具体な相の名をかそうとせず、必に言い逃れを続けているとのことです」
先は力く言った。
「しかし帳簿というかぬ証拠がある以、のき先が判するのはの問題です」
私はく息を吸い込み、乱れた呼吸をえた。さんは内としてのを捨て、徹に会社の正を暴きそうとしている。義母が守ろうとした世体も、絶対な権力も、今まさに音をてて崩れ落ちようとしていた。
もう誰も、義母の「社員のため」という嘘を信じる者はいない。密ので族を支配してきた彼女の魔法は、完全に解けた。私が先に伝えた。
「先、さんの調査を最まで見届けたいといます」
私ははっきりと言った。
「義母が私に何をしようとしたのか、その本当の理由をる権利が私にはありますから」
先は力く頷いてくれた。調の準備は粛々とんでいるが、私のはもう俊のことを見てはいなかった。彼が母親の言いなりになって私を売った背景には、こんなにも醜い真実が隠されていたのだ。
数には、流した巨額の資のき先が完全に特定されるはずだ。義母が会社を危険に晒してまで守りたかったものの正体が、いよいよ私の目のに引きずりされようとしていた。
3も終わりにづいたあるの午。百法律事務所の会議はい沈黙に包まれていた。テーブルの向こう側には、回よりもさらにい疲労を顔に滲ませた島さんが座っている。
さんはきく息を吐きしてから、元にある分い最終報告をゆっくりといた。
さんは私たちを見た。
「叶恵さん、先。部の会計専チームによる徹底な財務調査が、ついに全て完しました」
居まいを正し、隣の弁護士とともにさんの次の言葉をじっと待った。さんは静かに事実を告げた。
「結論から申しげますと、母が必に隠そうとしていたのは、単なる産事業の振ではありませんでした」
さんは言葉を続けた。
「会社の資を致命に枯渇させていた最の原因は、母の弟が経営する宿泊事業への巨額の資流でした」
さんのから語られたその事実は、私が全く像もしていなかった勝な裏切りの物語だった。義母の弟、つまり私や俊にとっては叔父にあたる物の事業は、すでに数から実質に破綻していたそうだ。
しかし義母は、自分の内の事業が失敗したという事実を、族や世に対してどうしても認めたくなかった。そのため産会社の代表という絶な権限を悪用し、役員会にも秘密裏に会社の資を流し続けていたのだ。
さんは数字をにした。
「過5というい期にわたり、名目を変えて部へ流した額は、計で約1億4000万円にります」
1億4000万円というとてつもない数字を聞いて、私はわずさく息をんだ。私が尋ねた。