"「次男にこの家を譲ります」義母が宣言したのは私名義の家だった" 第14話
「通りません」
梨弁護士は、即答した。
「民法、無償で産を貸借する契約は《使用貸借》に分類されます。賃貸借と異なり、借借法による借主の保護は極めて限定です。また、に交わされた《使用貸借契約》第条において、『所権は藤澤美咲に留保され、第者への転貸、譲渡、担保提供は』と記されており、子様ご自の署名捺印も確認されております」
義母の眉がピクリとく。
「さらに、親族ので方に『次男に譲る』と宣言した為、および第者への担保提供を画策した為は、使用貸借の根幹である『信頼関係』を著しく破壊する背信為に該当します。法には、貸主である美咲氏から、何らの猶予期を置かずに即契約解除を通されても文句は言えないです」
「な……っ!?」 義母の顔から、急速に赤みが引いていった。
「ていけっていうの!? を過ぎた寄りを、に迷わせる気!?」
「その点については、ほど美咲氏より現実なご提案があります」 梨弁護士は淡々と義母のヒステリーを受け流し、線を隣の健太へと移した。 「次に、最もな点について確認します。藤澤健太様」
夫が、息を呑んで体を直させた。
「健太さん」 私がをいた。 夫は怯えたように線を彷徨わせ、私と目をわせようとしない。
「あなたがに、亮介さんの械リース契約および運転資の融資枠に対して署名した、『連帯保証』の契約についてよ」
「……え?」
義母が、素っ頓狂な声をげた。 のスーツの胸元を押さえ、男の顔を凝する。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。連帯保証って何よ? 健太、あんた……保証になってるの?」
夫は青ざめた唇を震わせ、何も言えない。
「答えて、健太さん」 私の声が、会議の壁にたく反響する。 「お義母さんも、親族のみんなも、あなたが『優しい男として弟を救おうとした』と信じているわ。でも、本当は違うわよね?」
「健太……? 嘘でしょう、あんた……」 義母の声が、震え始めていた。
「話してください」 梨弁護士が促す。 「主債務者である藤澤亮介氏の債務履により、すでに連帯保証である健太様宛てに、リース会社から括請求の催告通が届いております。額は、残債と遅延損害をわせて約千百万円」
千百万円。 その数字が突きつけられた瞬、義母の呼吸が止まった。
「い……千百万……!? 健太が……払うの!?」
「主債務者が払えなければ、連帯保証が全額を括で支払う義務を負います。それが連帯保証です」 弁護士の無質な説が、義母の脳を直撃する。
「兄貴!!」
それまで沈黙を守っていた亮介が、突然テーブルを両で叩いてちがった。 パイプ子が甲い音をてて倒れる。
「亮介、やめろ……!」 夫が顔を覆って叫ぶ。
「やめるわけないだろ!!」 亮介の瞳から、粒の涙がボロボロと零れ落ちていた。
りと、絶望と、裏切られた屈辱が入り混じった、獣のような形相だった。 「母さん! こいつ、俺のためなんかにいてたんじゃないんだよ!!」
「亮介ちゃん、何を……」
「こいつはな、自分が保証になってることが嫂さんにバレるのが怖かっただけなんだよ! 俺のが潰れたら、千百万の請求がこいつの料に直撃する! だから……だから嫂さんのを巻き込んだんだ!」
亮介は震える指で兄を指差した。
「母さんには『を譲るって親戚ので言えば、美咲は折れる』って焚きつけて! 俺には『美咲と話がついてるから、担保に入るって商社に言っておけ』って嘘をついて! 全員を騙して、全員を操って……嫂さんのを代わりに差しして、自分の借をチャラにしようとしてただけなんだよ、この男は!!」
「違う!! おのためだったんだよ!!」 夫が叫び返した。 顔を涙とでぐしゃぐしゃにしながら、ちがって弟を睨みつける。
「俺が保証になってやらなきゃ、おはに倒産してただろ!! 男だからって、親父がんでから全部俺に押し付けやがって! 母さんの嫌取りも、親戚の付きいも、俺が全部背負ってきたんだ! それなのに……それなのに、美咲は俺より稼いで、自分のを持ってて……俺の言うことなんて何つ聞きやしない! 俺が……俺がこので、どれだけ惨めだったか、おらに分かるかよ!!」