"引っ越しを手伝った父に5000円、夫が隠した同居計画" 第9話
私は、元の類を見つめながら、はっきりとした声で伝えた。
「私は、夫の事業借入れに対して、この自宅を担保として提供することに切同していません」
話の向こうで、担当者がしだけ驚いたように息を呑む気配がした。私は、続けた。
「夫が作った事業計画には、私の同を得る予定だという提で、自宅を担保にするという記載がありました」
私は、を交えず事実だけを淡々と説した。
「今、もし夫がそちらへき、私の同があると言って担保設定をめようとした、絶対に受け付けないでください」
担当者は、真剣な声で答えた。
「承いたしました」
担当者の声は事務でありながらも、慎なものに変わった。
「ただ現、ご主様から正式な事業借入れのお申し込みや、担保設定のご相談は入っておりません」
私は、頷いた。
「はい。まだ申し込みのだということは承しています」
担当者は、説した。
「あくまで現点では、奥様単独名義の産に担保が設定されることは実務ございません」
私は、を押した。
「それでも、私の同が必な続きが発したは、必ず私本への直接の確認を必須事項として記録に残してください」
担当者は、承した。
「かしこまりました。担当部署と共し、奥様のご向を厳に記録させていただきます」
私は、お礼を言った。
「よろしくお願いします」
私は話の向こうの相にをげて、通話を切った。たったそれだけのことだった。夫を犯罪者として警察に突きしたわけでも、夫の会社に乗り込んでいって騒ぎてたわけでもない。
そもそも、夫の会社はまだも形もなかった。私はただ、自分のを守るために、自分が同していないという当たりの事実をに伝えただけである。
それだけで、夫の完璧だったはずの計画は音をてて崩れるのだ。親からの1000万円の資援助はない。私からの担保提供による数千万円の借入れもない。
残されたのは、夫が自分で貯めたという500万円の自己資だけである。その事実が、夫の計画がいかにの財産に依した砂の楼閣であったかを証していた。
そのの夕方、いつもよりし遅く帰宅した健太は、靴もそろえずリビングへ入ってきた。顔は青ざめ、その目にはりと疲労が入り混じっていた。夫は、私を見た。
「に話したのか」
夫のく押し殺したような声が、静かな部に落ちた。私は、夕の準備をするを止めなかった。振り返らずに答えた。
「ええ」
夫は、震える声で聞いた。
「妻は同してないって、本当に言ったのか?」
私は、振り返った。
「私の同が必な続きには、必ず私への直接確認を必須にして欲しいって伝えたわ」
夫はきなため息をつき、ダイニングの子に崩れ落ちるように座った。
「俺のを本気で潰す気なのか」
その言葉を聞いた瞬、私はにした菜箸を台所に置いた。夫の方へ向き直った。
「私が潰したの?」
夫は、私を睨んだ。
「おがにそんなことを言ったら、もうを担保にした融資の話はめられないだろう」
私は、ややかに言った。
「私の署名がないと潰れるだったのなら、最初から私に聞くべきだったでしょう」
夫は、声を荒げた。
「だから、で説するつもりだったって何度言えば分かるんだよ」
夫は、テーブルをドンと叩いた。
「俺のはおのでもあるとってたから、最は協力してくれると信じていたんだよ」
私は、静かに問いかけた。
「夫婦だから協力するのが当たりだとっているなら、どうして最初に相談するのが当たりだとえなかったの?」
私の問いかけに、夫は言葉を詰まらせた。夫を見据え、私は言った。
「あなたは私を信用して『はい』と言ってくれると信じていたんじゃないわ」
私は、たく言い放った。
「私が反対しても、既成事実を作ってしまえば最には折れると見くびっていただけよ」
夫は、目を泳がせた。言い訳を探すようにをいたり閉じたりした。私は、さらに問い詰めた。
「お義父さんたちも、おはさないって言ったんでしょう」
夫は、力なく頷いた。
「ああ。親父が本気でってて、話にもてくれない」