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"6年間の節約生活、夫にとっては「庶民ごっこ」だった" 第12話

……正直に言えば、技術者として、こので指揮を執りたいといういはある。俺が現に入らなければ、本社の連はまたコスト優先で抜き事をやらかすかもしれない」

夫の言葉には、初めて「若様」でも「頑固な職」でもない、の職業としての々しい葛藤が滲んでいた。

「でも、受諾すれば、週の半分は京と全国の資材産をび回ることになる。今の現のように、夕方に帰ってきて、でスーパーにく活は……度とできない」

私は何も言わず、ただ夫の言葉を待った。 促しもせず、否定もせず、ただ線をさずにいた。

夫は震える息を吸い込み、固く握りしめた拳を見つめたあと、

ゆっくりと、私の方へ線を戻した。

「……彩乃」

その声は、震えていた。 怯えと、迷いと、そしての結婚活ので、度も見せたことのない切実な敬が混ざりっていた。

「彩乃は……これから、どうしたい?」

胸の奥が、く疼いた。

初めてだった。 で、初めて、このは自分の答えを用せずに、私の答えを待っている。

「私は」

私は背筋を伸ばし、はっきりと告げた。

「今の横浜の会社を辞めるつもりはないわ。資系ブランドにもかない。自分ので、今の会社でキャリアを積み直す。来から、サプライチェーンの専資格を取るためのスクールに通うことも決めたわ」

夫が息を呑む。

「あなたのの事業のために、私が自分のを差しす筋いはない。……でも、あなたがそのプロジェクトにかけるを、否定する権利も私にはないわ」

「彩乃……」

「蒼太さん。私はね、『若様の奥さん』になりたくて結婚したんじゃないの。あなたと、対等な夫婦になりたかった」

私はクリアファイルを指先でトントンと叩いた。

「もしあなたのや会社が、私に『創業の妻』としての役割を求め、私の仕事を奪い、あなたのおまけとしてきることをするなら……私たちは、ここで終わりよ。婚届に判を押して」

夫の顔が青ざめた。 だが、私は言葉を止めなかった。

「でも、もしそうじゃないなら。あなたが本社のに対しても、自分の親族に対しても、私がの自したであることを認めさせ、互いの仕事を尊しえるルールをゼロから作れるというなら……」

私は息をえ、夫の目を射抜くように見つめた。

「もう度だけ、話しう余はあるわ」

沈黙が落ちた。

夫はい、私の顔を見つめていた。 まるで、見落としていた妻の本当の輪郭を、今初めて網膜に焼き付けようとするかのように。

やがて、夫はく、く息を吐きした。 その瞳から迷いが消え、別の覚悟が宿っていくのが見えた。

「分かった」

夫は言った。 その声は、く、力かった。

「本社には、条件付きでしか引き受けないと伝える。役員待遇ではなく、現統括の専職としての契約だ。まいは横浜からかさない。京への移が必なは俺が通う。そして……創業の事や親族の付きいにおを引っ張りすことは、絶対にさせない」

「約束なら、何とでも言えるわ」

「覚悟ならある」

夫はテーブルので、をげた。 々と、額が机につくほどに。 かつて久世会が夫にをげたのと同じように、今、夫は私に向かってをげていた。

「もう度、そこから始めさせてほしい。……俺を、おの対等な夫に、からやり直させてくれないか」

をげた夫のうなじを、私はめた目で見つめていた。 許す、とにするのは簡単だった。 元通りに抱きって、涙を流して終わらせれば、どれほど楽だろう。

けれど、度壊れた信頼の器は、接着剤で貼りわせたところで、継ぎ目が消えるわけではないのだ。

「……いいわ」

私はちがった。 夫が驚いたように顔をげる。

「でも、別居は続けるわよ」

「え……?」

「あなたが役員会とどんな契約を結び、実際にどんなを取るのか。それから、私が自分のでキャリアをて直せるのか。……半、お互いにで試しましょう」

私は伝票をに取った。 夫が慌てて財布をそうとするのを、で制する。

「自分の分は自分で払うわ。

これからは、全部そうよ」

レジへ向かう私の背に、夫の声が追いついてくることはなかった。 のにると、夕暮れのたい空気が頬を刺した。

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