"妻の浄水器は粗悪品、義母のキッチンには84万円" 第9話
を演じさせられているのだ。
私はく息を吸い込んだ。
肺の底まで、たい空気を満たす。
「お義母さん。座っていただけますか」
私の声の調子が変わったことに気づいたのか、義母の顔から笑顔が消えた。
「……美さん? 何なの、改まって」
「お見せしたいものがあるんです」
私は提げ袋から、桃を取りさなかった。
代わりに、ずっしりとい冊の黒い学ノートと、折りたたまれた類のコピーを取りし、ダイニングテーブルのに静かに置いた。
「これ……何?」
「私の、過の計簿です」
義母は眉をひそめ、テーブルののノートを見つめた。
「計簿? そんなもの見せられても……」
「お義母さん。浩さんは、あなたに嘘をついています」
リビングの空気が、ピンと張り詰めた。
「……嘘? あの子が? 何を言ってるのよ、美さん」
義母の声に、警戒とが混ざり始める。
「浩さんは、会社の業績が良いなんて度も言っていません。この、私には毎毎、『会社が危ない』『ボーナスがカットされた』『老資がりないから円も無駄遣いするな』と言い続けてきました」
「そ、それは……族を守るために、気を引き締めさせようと……」
「お義母さん、これを見てください」
私は番のノートをき、義母のに滑らせた。
「これが、毎のがの費です。夫婦で、万千円。
あたり、百円です」
義母の線が、ノートのページに吸い寄せられた。
そこには、スーパーの「半額」「30%引」のシールが几帳面に貼られ、円単位の計算がびっしりと並んでいる。
「私はこの、定価の肉や魚を買ったことがありません。夜の半にスーパーにって、黄い見切り品シールが貼られるのを待って、消費期限がそののうちの豆腐やもやしばかり買ってきました」
義母の唇が、さく震えた。
「エアコンも、夫が帰ってくる夜まで、どれだけ猛暑でもつけさせてもらえませんでした。『気代の無駄だ』と鳴られるからです。私のパート代は毎万円ですが、その全額を夫の座に吸いげられ、私自が自由に使えるおは円も渡されていません」
「そんな……だって、浩は……」
「これを見てください」
私はのページをいた。
「健康診断で腸の再検査がたとき、検査費用の千円が惜しいからと、浩さんに止められました。『医者の儲けに付きうな』って。私は今も、精密検査を受けていません」
義母の顔から、急速に血の気が引いていくのが分かった。
「ヶ、私の仕事靴の底が破れました。スーパーの厨で、ちっぱなしで揚げ物を揚げるための靴です。の血管が浮きて激痛がるから、千百円のち仕事用のスニーカーを買わせてほしいと頼みました」
私は自分の元を指さした。
履いてきたのは、底がすり減り、百均の敷きがはみしかけた、汚れた古いスニーカーだ。
「浩さんは何て言ったといますか? 『計の危がりない』『贅沢を言うな』って、私を鳴りつけたんですよ」
「…………」
義母は息を呑んだまま、言葉を失っていた。
線が、私のボロボロのスニーカーと、ノートに並ぶ見切り品シールのを激しくき来している。
「そして、その翌週です」
私は最に、あの見積のコピーをテーブルの真んに突きつけた。
「浩さんはこのショールームにって、あなたのキッチンのリフォームを契約しました。括で万千円。の万円を、そので現で支払っています」
義母の目が、見かれた。
「さらに……お義母さん、あなたのキッチンのにある、あの青い浄器のカートリッジ」
「あ、あれは……浩が……」
「ええ。定期購入で万千百円する正規品です。浩さんは毎、がの名義でそれを取り寄せ、そのままあなたの団に持ってきていました。そしてがのキッチンには何をつけたといますか?」
私はスマートフォンを取りし、昨、作業員の田さんが撮してくれたがのフィルターの写真を画面に表示させた。
「製の、サイズもわない数百円の粗悪品です。注入をカッターで削って、無理やりねじ込んでありました。
隙からプラスチックの削りカスが漏れして、濁ったがていたんです。