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"妻の浄水器は粗悪品、義母のキッチンには84万円" 第11話

……スピーカーにして、直接話してください」

義母はい表のまま、く、く頷いた。

「わかったわ。今夜、必ず決着をつけましょう。あの子のあの腐った根性、私が叩き直してやるから」

里ヶ丘の団をると、が容赦なくアスファルトを焼き焦がしていた。

バスに揺られて枚方駅へ戻る、提げ袋を握りしめる私ののひらは汗でびっしょりと濡れていた。

だが、胸の奥は議なほど静まり返っていた。

恐怖も、迷いもなかった。

あるのは、張り巡らされていた分い氷が溶け、そのに隠されていた沼の底を直する覚悟だけだった。

夜。

蒸し呂のようながのリビング。

私は壁にかけられたエアコンのリモコンをに取り、迷うことなく度のボタンを押した。

ピピッという子音が、静まり返った部にく響く。

、夫が帰宅する夜まで、絶対に触れてはならなかった禁忌。

吹きしから勢いよく吐きされた気が、私の汗ばんだ首筋を撫でた。

その瞬、背筋がすっと伸びる覚があった。

夕飯の支度は、切しなかった。

換気扇も回さず、ガスコンロのはえ切ったままだ。

炊飯器の保温ボタンすら押していない。

代わりに、私はダイニングテーブルのに証拠を並べた。

過分、冊に及ぶ黒い計簿。

夫のスーツの内ポケットから回収した、万千円のシステムキッチン見積のコピー。

今、団をたでのATMに寄り、記帳してきたばかりの「活費座」の通帳。

そして、作業員の田さんが撮して送ってくれた、カッターで削られて異臭を放つがのフィルターの写真。

それらを然と並べた央に、私がこので便箋にき殴った枚の類を置いた。

『計管理および活費分担に関する』

計の針が、夜の半を回った。

カチャリ、と玄関の鍵が回る音がした。

続いて、い革靴を脱ぎ捨てる音。

「おい、美!」

廊に、苛ちを隠そうともしない夫の鳴り声が響いた。

「母さんから鬼のように着信が入ってたぞ! 留守で泣き叫んでるし、何事なんだよ! お、まさか本当に母さんのところにったのか!?」

リビングの引き戸が、乱暴にけ放たれた。

ネクタイを緩め、汗で顔をテカらせた夫がび込んでくる。

だが、部に入った瞬、夫の表が凍りついた。

肌を刺すようなの気。

暗がりの、ダイニングテーブルのペンダントライトつだけが照らしす、異様な類の。

そして、その奥に背筋を伸ばして座る私の姿。

「……何だよ、これ」

夫は引き戸の枠にをかけたまま、眉をひそめてち止まった。

「気代もったいないって言ってんだろ。

何でこんなガンガンに効かせてんだよ。それに……飯は? 真っ暗にして、何やってんだよ」

「ご飯はないわ」

私の声は、自分でも驚くほどく、平坦だった。

「……は? 飯がないって、どういうことだ」

「作ってないの。べる気もないし、あなたにべさせる義務もないから」

夫の顔が、りで赤黒く染まりがった。

ドカドカとを踏み鳴らしながらテーブルへ詰め寄ってくる。

「お、いい加減にしろよ! 俺が、炎でどれだけげて営業回ってきたとってんだ! パートで数油揚げてるだけの分際で、飯も作らずに何様のつもりだ!」

夫のが、威嚇するようにテーブルの端を力任せに叩いた。

ガタン、と冊のノートがねる。

昔の私なら、この声だけで臓が縮みがり、反射に「ごめんなさい」とをげていただろう。

だが今は、睫毛つかなかった。

ただややかに、夫の吊りがった血った目を見つめ返した。

「座りなさいよ、浩さん。話はそれからよ」

「座れだと!? ふざけるな! おが母さんのところにって余計なこと吹き込んだせいで、母さんがパニックになってんだよ! 『浩、恥をりなさい』って留守で喚かれて……俺がどれだけ恥をかいたか分かってんのか!?」

「恥?」

私はの端をしだけ持ちげた。

「恥をかいたのは、あなたじゃなくてお義母さんよ。

自分の息子が、嫁にカッターで削ったゴミのをませて、そので自分に万のキッチンを買い与えていたとった母親の気持ち、考えたことある?」

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