みかん小説
本棚

"家族はすき焼き、義姉だけが台所で水かけご飯を食べていた" 第7話

私はその提案を受け入れた。

夫婦になるのだから、収入のい方が固定費を支え、もう方が貯蓄に回すのは理だとったから。

お互いを信頼していたからこそ、つ返事で承諾した。

嘘だったのだ。

直の料を貯蓄に回すためなんかじゃない。

自分の取りから、過の養育費の滞納分や、借を穴埋めするため。

そして、その分の活費の穴を、私の薬剤師としての定した料で丸ごと埋めさせるため。

「遥さんはお料もいいんだから、計くらい支えてあげて当然でしょう! 夫婦なんだから、どっちのかなんて関係ないじゃないの!」

義母の言葉に、私は全の血が逆流するようなりを覚えた。

「……ふざけないで」

「何ですって?」

「ふざけないでください!!」

私の声が、古い本の居に響き渡った。

義母がビクッと肩を揺らし、目を丸くする。

「私は、あなたの息子の借や養育費を肩代わりするために結婚したんじゃない! なんでの子どもの未払い分を、騙された私が働いたおで補填されなきゃいけないの!?」

「族でしょう!? 助けうのが族じゃないの!」

「都のいいだけ族って言わないで!」

その、ずっと廊にっていた真帆さんが、静かに、けれど鋼のようにい声でをいた。

「お義母さん。それは違います」

義母がギロリと真帆さんを睨みつける。

「真帆さん、あなたまだを挟む気!?」

「太さんの会社が苦しかった、私が実の両親に頼んでおを用てようとしたことがありましたよね」

真帆さんの線は、座卓の隅で俯いている夫の太さんに向けられていた。

「あの、お義母さんは何て仰いましたか? 『男ののと、あんたの実のをごちゃ混ぜにするな、筋を通せ』って、私を鳴りつけましたよね。兄弟でおをしって助けようって私が提案したも、『弟の直に迷惑をかけるな、各庭の財布は別だ』って突っぱねましたよね」

義母の顔が、みるみるうちに赤黒く染まっていく。

「なのに、どうして直君の借は、遥さんのおで穴埋めして当然なんですか? 都が悪くなると『族だから』、自分たちの懐が痛むは『別の庭だから』。そんな理屈が通るわけないでしょう!」

「真帆……お、もうやめろ」

太さんがボソリと呟いた。

その声には、妻を庇うなど微もなく、ただ自分の母親の嫌を損ねたくないという保だけが滲んでいた。

真帆さんは、そんな夫を瞥し、ややかに言い放った。

「あなたも同じよ。、ずっとお義母さんの言いなりで、私にを押し付けてきた。直君が遥さんを騙しているのをりながら、見て見ぬふりをした。このの男のは、みんな同じ。

自分が矢面にちたくないから、全部女にを被せて、黙っていれば済むとってる」

「黙りなさいッ!!」

義母がちがり、座卓をひっくり返さんばかりの勢いで叫んだ。

その顔は、もはや品な母親の仮面など完全に剥がれ落ち、醜悪なエゴそのものだった。

私は、ゆっくりとちがった。

の震えは、完全に止まっていた。

「直」

見ろすと、直は怯えた子どものような目で私を見げていた。

「あ、遥……頼むから、度落ち着いて話そう。居に戻って、だけで……」

「触らないで」

伸ばされかけた直のを、私は躊躇なく払いのけた。

パチン、と乾いた音が居に響く。

「居には戻りません」

「え……?」

「私の荷物は、まだの部から全部運びしてない。居にある最限の荷物も、専の業者を呼んで引きげます」

「遥、待ってくれよ! 入籍したばかりだろ!? まだしか経ってないんだぞ!?」

直がちがり、私の腕を掴もうと縋り付いてくる。

その瞳には、私へのなど片もなかった。

ただ、敷いたばかりの全なレールがれ、づるを失うことへの焦りだけが張り付いていた。

「しか経っていないからよ」

私はたく言い放った。

「しか経っていない今、気づけて本当に良かった。あなたの嘘で塗り固められたに、私のこれからの何を差しすつもりなんて、1ミリもありません」

「籍はどうするんだよ! もう婚姻届は受理されたんだぞ! 簡単に別れられるわけないだろ!」

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: