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"「月5万払うから」離婚した私に介護を頼む元夫" 第12話

「これを見て……全の血の気が引きました」

玲奈の声が、微かに震える。

「美さん、フルタイムで働いていらしたんですよね? 信用庫で、責任あるポジションで。それなのに、この通院の回数……この役所の続きの量……これ、全部あなたがで背負っていたんですか?」

「ええ」

私は静かに答えた。

「、度も仕事を辞めたことはありません。休暇はすべてお義母さんの病院と介護認定の申請で消えました。週末は実の掃除と買いし。健さんは度も病院のまでついてきたことはありません。診察券の所すらりません」

「やっぱり……」

玲奈は両で顔を覆い、く息を吐きした。

「健さんは、しい妻が欲しかったんじゃない。私の若さや、子どもを産む能性を利用して、母親の介護と庭の雑務を丸ごと引き継ぐ『代目の無料政婦』を探していただけだったんだわ」

「そうですね」

私は淡に、しかし確信を持って告げた。

「あのたちにとって、族とは『都よく搾取できる無償の労働力』のことです。度その枠組みに入ったら、あなたのキャリアも、も、尊厳も、すべて『嫁の務め』という美名のにすり潰されます」

玲奈はゆっくりと顔をげた。その瞳には、すでに迷いはなかった。

「美さん。教えてくださって、ありがとうございました」

玲奈はバッグから帳を取りし、ペンをらせた。

「私、健さんとの婚約を完全に破棄します。しいマンションの契約も、私の名義分は違約を払ってでも解約します。会社にも事を話して、健さんがこれ以接触してこないように法な措置を取ります」

「……悔しませんか?」

私の問いに、玲奈はきっぱりと首を横に振った。

「悔なんてするはずがありません。むしろ、入籍するにこの異常さに気づけて、命拾いしました。美さんが耐えてこられたこと、同じ女性として……本当に、胸が痛みます」

玲奈はちがり、私に向かってく、真っ直ぐにをげた。

「美さん。あなたのを奪おうとしたあのたちに、絶対に屈しないでください。私も、私のを守るために戦います」

その凛とした佇まいに、私はさく頷いた。健が選んだ女性は、健がっていたような「しく言われるがままになる都のいい若い女」ではなかった。自分のでち、自分ので考え、搾取を断固として拒絶できる、現代の賢い女性だったのだ。

玲奈がった、私はめた茶をみ干した。胸の奥に、かつてないほど清々しいが吹き抜けていくのをじていた。

逃げを、すべて塞がれた佐伯。母の介護を押し付ける相を完全に失った健。

その現実が、いよいよあの傲な親子にを剥くが来たのだ。

そして、そのの夕暮れ。最の破滅の音が、私のマンションへと直接鳴り響いた。

ガタガタガタッ!!

激しい属音が、エントランスではなく、私の部の玄関ドアから直接響いた。オートロックをどうやって突破したのか。おそらく、のが入るタイミングで滑り込んできたのだろう。

ドンドン、ドンドン!!

「美さん!! けなさいよ!! けなさいったら!!」

狂乱した叫び声。千代子だった。

今回はスーツケースはない。だが、その形相は数よりも遥かに凄まじかった。乱れに乱れた髪交じりのパーマ、吊りがった血った目、元からは泡がび散っている。

私はドアガードをかけ、わずかに隙をけた。

「警察を呼びます」

私の第声に、義母はドアの隙に指をねじ込み、鬼のような形相で鳴り散らした。

「あんたね!! あんたが玲奈さんに余計なことを吹き込んだんでしょ!!」

唾がんでくる。

「さっき玲奈さんから健に連絡があったのよ! 婚約破棄する、度と連絡してくるなって! 慰料の請求まで弁護士から届くって言うじゃないの! あんたが裏でを回したんでしょ! 健の幸せを壊して、楽しいの!? この悪魔! 疫病神!!」

やっぱり、玲奈は迅速にしたのだ。自分のを守るために、容赦なく鉄槌をした。

「私は事実を聞かれたから、事実を答えただけです」

「事実ですって!? あんたがししていれば、みんな幸せだったのよ!!」

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