"花嫁が逃げた祝言で、毒を盛られた若旦那が選んだ女中" 第16話
しかし、代官は庄兵の弁を刀両断にね除けた。
「黙れ!貴様の言い分が真実であるならば、なぜ薬種問の裏帳簿に貴様の代が何度も毒薬を買い受けに来た確な記録が残っている。さらに、なぜ貴様が本から密かに盗みしていた目の品々や米が、貴様の私邸の蔵からそっくりそのまま見つかったのだ!」
その、お洲の片隅から、庄兵の私邸で使われていたもう1の男がへとみた。本の蔵から毎夜財産を運びす伝いをさせられていたその男も、良の呵責に耐えかねて全ての罪を自したのである。
信頼していた権蔵も男たちも全て真実のにり、庄兵はついに言葉を失ってそのに崩れ落ちた。
「お、お許しを……どうか今回の1度だけはお慈を……」
「己の罪のさをいまだわからぬか。宗の正当な当主を毒殺せんとした罪、無実の奉公にその罪をなすりつけようとした罪、そして本の莫な財産を当に盗みした罪、いずれも極刑に値する罪である。然るべき厳罰に処す!」
お洲を巻きに見守っていた町たちからも斉に非難の声ががる、庄兵は分と財産の全てを没収され、戸の町から遥かくれた僻へと島・島流しの刑に処された。
庄兵が本から盗みしていた財宝や米俵は全て源の元へと返還された。
また、自らの罪を包み隠さず自してお染たちの無実を証した権蔵は、代官の温によって刑を等減じられ、源からも寛なで許されて、涙ながらに真っ当なとして直すことを誓った。
こうしてい審判が終わり、名の敷には穏やかで平な々が戻ってきた。源の体も完全に元の健やかな状態へと回復し、たくましい若き当主として敷のにっていた。
あるれたの午、源はお染を自へと呼び寄せ、宇兵も同席するで、お染のし荒れてはいるが形の良い美しいを両で包み込むように握りしめた。
「お染、全てが終わった今、ようやくおに聞くことができる。おはなぜあれほど見事な医術の得で俺の命を救うことができたのだ。そして、おが折見せる気品に満ちた佇まいと、目の覚めるような美しい文字は、体どこでにつけたものなのだ」
すでに謀は暴かれ、庄兵もい島へと流された今、素性を隠し続けなければならない理由はなかった。お染は2の、命を守るために固く閉ざし続けてきた唇をゆっくりといた。
「私の本当の名は、染と申します。さる名な医師の娘にございます」
2の歳を経て初めてお染のから流れた声は、鈴の音のように清らかで凛とした響きを持っていた。
由緒ある柄で切に育てられた窓の令嬢だけが持つ、品で美しい言葉遣いだった。
「お……言葉が話せたのか」
源と宇兵が衝撃に目を見張る、お染は静かに頷き、これまで誰にも語ることのできなかった過酷な過ののを打ちけ始めた。
「私はもともと、お隣の領国でも指折りの格式ある医の1娘でございました。父はの々から神医と崇められ、分のを問わずくの々の病を救ってまいりましたが、ある名の臣の病を診察した際、醜い跡目争いの謀に巻き込まれ、毒殺の濡れを着せられて牢獄で無のを遂げたのです」
お染の声がかすかに震え、源と宇兵は息を詰めてを傾けた。
「母も労がなって父のを追うように世をり、がは罪の系としておから取り潰されました。幼い頃から私を育ててくれた老いた乳母が、私にボロボロの着物を着せ、『おの目を欺くため、も聞こえず言葉も切話せない娘のふりをしてき延びてください』と言い残して、追っの代わりとなってくなったのです」
お染の瞳から粒の涙がこぼれ落ち、頬を伝った。
「あの以来、私は過を葬りり、飢えと寒さでこのお敷の表のに倒れていたところを、宇兵の爺様に救っていただいたのです」
源はお染のさな背が背負ってきた孤独と苦痛のさをい、おしそうにそのをく握りしめた。