"実母の50万円、義母の500万円" 第4話
「おのせいで、川の顔にが塗られたんだぞ!」
夫はテーブルを拳でく叩いた。コーヒーカップがカタカタと音をてて揺れたが、私のは面のように静まり返っていた。
「私のせいにしないで。あなたがの丈にわない約束を親にしただけでしょう」
「血女め……! おみたいなな嫁、親戚に言いふらしてやるからな!」
夫は吐き捨てるように鳴ると、寝へ引きこもり、内側から鍵をガチャリと閉めた。
壁の向こうから、誰かに話をかけて激昂している夫の声が漏れ聞こえてくる。
親戚に言いふらす。
その言葉通り、反撃の包囲網はすぐに仕掛けられた。
数、退院した義母から「今の体調と活について事な相談がある」と連絡が入った。
指定された曜、私たちが義実へを運ぶと、玄関には見慣れない靴が何も並んでいた。
引き戸をけて居に入った瞬、張り詰めた空気が肌に刺さる。
座には、すっかり顔の戻った義母が座っていた。そしてその隣には、親戚ので最もうるさく、義母が最ものがらない伯母の文が陣取っていた。
さらに義弟の健太と、くにむ親戚の叔父夫婦まで顔を揃えている。
「あら、美咲さん。ずいぶん役勤じゃないの」
文伯母が、湯呑みをテーブルに置きながらねめつけるように言った。
「お待たせして申し訳ありません。の遅延がありまして」
私は努めて丁寧にをげ、夫の隣の座布団に腰をろした。
義母は痛ましげな表を作り、眉尻をげてため息をついてみせる。
「美咲さん、退院祝いの言葉もないのね。私、あんなに楽しみにしていたホームに入れなくなって、ショックでまた血圧ががってしまったのよ」
「それは変でしたね。ご自宅で静になさるのが番です」
私のややかな返答に、文伯母がすかさず割って入った。
「美咲さん、あんたね、男の嫁としての自覚がりないんじゃないの? 代さんは苦労して公平君と健太君を育てげたのよ。いい施設で余を過ごさせてあげたいとうのが、のでしょう」
「ええ、とても派なお考えだといます」
私は姿勢を崩さず、静かに伯母の目を真っ直ぐに見返した。
「なら、どうして百万円をし渋るのよ。あんたたち夫婦はに勤めていて、子供もいないんだから、それくらいの蓄えはあるでしょうに」
親戚の叔父も同調するようにさく頷く。居のに、嫁への同調圧力が満ちていく。
夫の公平は、方を得て気になったのか、腕を組んで私を見ろすようにをいた。
「俺は親孝がしたいんだよ。でも美咲が妙に警戒して、俺たち夫婦のをし渋るんだ」
夫婦の。
夫のその狡猾な言い回しに、私はのでたい笑いを浮かべた。
「お言葉ですが、伯母さん」
私はバッグから型のバインダーと卓を取りし、畳のに置いた。
「論ではなく、具体な数字で確認させていただけますか」
親戚同が怪訝な顔を見わせる、私はバインダーに挟んだ用を全員に見えるよう広げた。
「アリアコートの初期費用は百万円ですが、額の基本利用料と管理費、費で毎万千円かかります。仮にお義母さんが入居された、総額でいくらになるかごですか?」
卓のキーを素く叩き、液晶画面を文伯母のに向けた。
『39,080,000』
千百万円を超える数字をに、伯母が息を呑んで目を丸くした。
「毎万い固定費が、で千万円くになります。公平、あなたはこの資計画をどうやって維持するつもりなの?」
「そ、それは……おいおい考えればいいって言っただろ!」
「おいおいでは済みません。契約者には毎の支払い義務が発します」
私は夫から線をし、今度は座の義母へと向き直った。
「お義母さん。この施設に入るにあたり、ご自の預からいくら拠されるご予定ですか?」
義母はぎくりとして肩を揺らしたが、すぐに満げにを尖らせた。
「私の預なんて、これからの医療費のために残しておかなきゃいけないでしょう。
だって、川の切な財産なんだから絶対に売れませんよ」