"実母の50万円、義母の500万円" 第5話
「分かりました。では、お義母さんの持ちしはゼロですね」
私はバインダーの用に、きく『義母:0円』とき込んだ。
居の空気が、急速に凍りついていく。
「次に公平。あなたは男として、自分の名義の預からいくらすつもりなの?」
「なっ……! 夫婦なんだから、おのと俺のを分ける必はないだろうが!」
「分けます。私の座にあるおは、結婚の貯蓄とき父の遺産です。法に夫婦の共財産ではない特財産よ。私の預をあてにしない、あなたの個座からいくらせるの?」
夫は顔を真っ赤にし、喉を詰まらせて線をへ落とした。
「……今は、まとまったはない」
私はペンをらせ、『夫:0円』ときくきした。
用には、『必資:約4,000万円』のに、義母ゼロ円、夫ゼロ円の文字が並んでいる。
「ご覧の通りです、伯母さん」
私はバインダーを文伯母の真正面に突きした。
「総額千万円におよぶ贅沢な介護活の計画で、内の方々は誰として円もす気がありません。唯の資源としてあてにされているのが、私の独代の貯と父の遺産である百万円だけです」
文伯母の顔から、先ほどまでの威圧ながサーッと引いていった。
「公平君……あんた、自分でおを面したんじゃなかったのかい?」
「いや、伯母さん、これは夫婦の話しいの途で……」
「百万円をすにだけ、計算するなと言うんですか?」
私の鋭く澄んだ声が、静まり返った居に響き渡った。
「、私の実の母が腸がんの術を受ける際、私が自分の貯から万円を貸すと伝えた、公平は『正気か』と鳴り散らしました。の親にを使うなと言い放った夫が、なぜ自分の親のために私の百万円を平然と求できるのですか?」
親戚の叔父が、いたたまれないように顔を背けた。
文伯母もをへの字に曲げ、膝のの拳を握りしめたまま黙り込む。
「代さん……あんた、美咲さんのお父さんの遺産をあてにして、あのい施設に入ろうとしてたのかい?」
「ち、違うわよ文姉さん! 私は公平が全部配してくれるって言うから……!」
義母は慌ててを振ったが、その線は泳ぎ、弁解の声はずっていた。
親戚たちによる「嫁への説教会」は、完全に瓦解した。
いたたまれなくなった叔父夫婦が「急用をいした」とちがり、文伯母も苦々しい表で席をった。
「公平君、あんた男男って威張る割には、ずいぶんけない話じゃないか」
伯母のたい捨て台が、夫の背にく突き刺さった。
親戚たちが潮が引くようにった、義実の玄関で靴を履く私の背へ、夫が詰め寄ってきた。
そのには、震える跡でかれた枚の便箋が握られていた。
「待てよ、美咲……! これを見てくれ!」
夫が引に差ししてきた面には、『借用』という揃いな表題が躍っていた。
借主、川公平。額、百万円也。使途、母の齢者宅入居費用。
そして返済期の欄には、信じられない文言が並んでいた。
『実産の処分等により返済』
私はその曖昧極まりない文を、徹な目で見つめた。
「実産の処分等、ね。お義母さんはさっき、は絶対に売らないと断言していたわよ」
「母さんがなんと言おうと関係ない! 俺が男なんだから、いずれ俺が判断する!」
夫は額に脂汗を浮かべ、すがるように目を剥いた。
「この借用があれば文句ないだろ!? を貸してくれ! 俺の顔をこれ以潰さないでくれよ!」
「あなたに、登記名義であるお義母さんのを処分する法な権限がどこにあるの?」
私のたい問いに、夫は追い詰められたように叫んだ。
「だって、あのは将来、俺が継ぐんだから!」
静まり返った玄関に、夫の浅ましい本音が響き渡った。
私はその醜悪な顔を、底えのする瞳でじっと見据えた。
「あなたが継ぐ?」
静まり返った玄関に、私の乾いた声が落ちた。
夫は自分がった言葉のさに瞬だけたじろいだが、すぐにき直ったように胸を張った。
「当たりだろ。男の俺があのを継いで守っていくのは、昔からの決まりなんだよ」
「お義母さんはまだ健よ。も建物もすべてお義母さんの単独名義なのに、どうしてあなたが処分を約束できるの」