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"夫の「俺の奢り」は、私のカードでした" 第4話

「あいつが本気で俺のカードを止めるはずがない」と自分に言い聞かせて無していた。

正斗はポケットから、使い慣れた黒いプラスチックカードを取りした。 礼子名義のプラチナ族カード。

フランスの屈なドライバーが、荷物を際よくトランクへ積み込みながら、流暢な英語で端末を差ししてきた。 「のため、保証枠の確保と事決済の確認をお願いします」

「ああ、これで頼む」 正斗は慣れたつきでカードを渡した。

ドライバーが携帯型の決済端末にカードをスライドさせる。 数秒の静寂。

ピピピッ、と無質な警告音が埠の喧騒に響いた。

ドライバーが眉をひそめ、画面を確認する。 「ムッシュ、このカードは承認されません。『Invalid Card』と表示されています」

「……は?」 正斗の喉から、の抜けた声が漏れた。

「そんなはずはない。もう度通してくれ。枠なら限度額まで数百万はあるはずだ」

ドライバーは肩をすくめ、再度カードを読み取らせた。 再び、拒絶の子音。 画面には赤く、確なエラーコードが点滅していた。

「嘘だろ……」 正斗の顔から、急速に血の気が引いていく。

ろで見ていた野望美が、そうに眉を寄せた。 「正斗さん、どうしたの? くしてよ、暑いんだけど」

「待て、械の故障だ。会社のカードを使う」 正斗は焦りを隠すように舌打ちし、財布から会社の法カードを引っ張りして端末へ押し込んだ。

監査によって利用止措置が取られているカードが、通るはずもない。

ピピピッ。 度目の警告音。

「おい、どうなってんだよ!」 正斗がわず本語で鳴り声をげた。

その剣幕に、で待していた義族がざわめき配備を崩す。 「正斗、何をもたもたしてるの!」 義母が駆け寄ってきた。

「カードが……械の調子がおかしいみたいで通らないんだ」

「まあ、フランスの械なんていい加減ね! 私のカードを使いなさい!」 義母は得げに、自分のバッグから同じ黒い族カードを取りしてドライバーに突きつけた。

結果は同じだった。 無質なエラー音が、嘲笑うように港に響き渡る。

「え? なんで? 私のカードも使えないの?」 義母が甲い声をげる。

「ちょっと、彩、あんたのカードは!」 「えっ、私のは普通のカードだし、限度額そんなにくないよ……」 義妹の彩が怯えたようにずさりし、その夫の直は気まずそうに目を伏せた。

何が起きているのか理解できない義父の耕造が、い取りでづいてくる。 「正斗、体何の騒ぎだ。はどうした」

「お父さん、ちょっと待っててくれ! すぐ解決するから!」 正斗はや汗でびっしょりになったで、最の頼みの綱である自の個座に紐づいたデビットカードを差しした。

ドライバーは骨にそうな顔をしながら端末を操作する。

だが、級ハイヤーのチャーター料に加え、これから向かうつホテルの泊分の宿泊費と額なデポジット。 数万円単位の保証枠を確保するには、正斗の個座の残はあまりにも許なかった。

ピピピッ。 『残』を示すエラー。

「オー、ノン」 ドライバーは呆れ果てたように息を吐き、首を横に振った。

「支払い能力が証されない以、お乗せすることはできません。のお客様の予約もありますので」

ドライバーはトランクをけると、積み込んだばかりの巨なスーツケースつを、コンクリートの面へと容赦なく放りし始めた。 ドスン、バタン、と鈍い音が港に響く。 級ブランドの免税品が入った袋が、肩の埃のに無造作に転がった。

「ちょっと! 何するのよ! 乱暴に扱わないで!」 義母が切り声をげるが、ドライバーは瞥もくれず、運転席に乗り込むと勢いよくドアを閉めた。 黒塗りのベンツは、黒い排気ガスを吹き残して、あっけなくりっていった。

照りつけるの太陽の。 異国の港の吹きさらしのロータリーに、の本が取り残された。

誰も何も喋らない。 波の音と、カモメの鳴き声だけがくで響いている。 野望美は、砂埃を被った自分のスーツケースを見つめ、信じられないものを見る目で正斗を睨みつけていた。

「……正斗さん。これ、どういうこと?」

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