みかん小説
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"十八万円を浮かせたい義母の計算" 第19話

『お義母さんからは、何か言ってきますか?』

私が尋ねると、美紀さんからは痛な返信が戻ってきた。

『正志を通じて「美紀さんは都落ちしてかわいそうに」って言ってきたらしいけれど、「ご配なく、卒の肩がなくても私の価値は変わりませんから」ってメッセージを通送ったら、度と連絡してこなくなったわ』

私はスマートフォンの画面を見ながら、声をげて笑った。

方の義理の実の漬物処にも、きな変化が訪れていた。

初の頃、松本由美さんから私のLINEにメッセージが届いたのだ。

『織ちゃん、元気にしてる? 実はね、奥さんから正式にお伝いの依頼があったのよ。今度はちゃんと類で、千百円、末当支、休憩記の雇用契約を持ってきたわ。正志さんがに入って作成したみたい。反省したのか、言葉遣いもすっかりしくなってね。私たちも、あの条件ならってことで、今の末はだけ入ることにしたの』

由美さんの報告を読んで、私は静かに息を吐いた。

義母は、ようやく理解したのだ。の労働力はタダではないということ。契約と対価を支払わなければ、は歩もかないということ。そして、自分では、あのの板つ守ることすらできないという徹な事実を。

正志さんもまた、男としての責任から逃げず、母親の経営を法とルールの枠組みに押し込める役割を果たしたようだった。

聡史も、しずつ変わっていった。最初の数ヶは、慣れない洗濯や掃除に戸惑い、ワイシャツに皺を寄せて勤することもあったが、私が切をさずに放置すると、自分でアイロンのかけ方を調べ、休に作り置きのスープを煮込むようになった。

私が現でだらけになって帰宅すると、玄関に温かい呂が沸いている。「今もお疲れ、飯できてるぞ」そう言って差しされる事をにするたび、私たちの夫婦関係は、目にしてようやく『共同活』としての形を持ち始めたのだと実した。

そして、再びがやってきた。

現の仕事は最盛期を迎えていた。寒が吹き荒れる、私は分い防寒着を着込み、現事務所で全類の最終チェックをっていた。

スマートフォンのカレンダーを見る。1228。あのから、ちょうどが経っていた。

定を過ぎ、事務所をる。のラジオからは、慌ただしい末のニュースが流れていた。

今の漬物処は、製造規模を例の半分以、わずか玉に絞り込んだと聞いていた。由美さんたちのパートが無理なく回せる範囲でしか予約を取らず、利益はくなったが、現が破綻することはなかったという。

晦の夕方、義理の実から「今の締めくくりに、みんなで夕でも」

と控えめな招待があった。

私は断ることもできた。だが、今の私には、あのを避ける理由も恐れる理由も、何つ残っていなかった。

「織、無理にかなくてもいいんだぞ」を運転する聡史が、助席の私を気遣うように言った。「丈夫よ。お腹も空いてるし」

母の玄関をけると、懐かしい汁の匂いがした。がり框に腰をろして靴を脱いでいると、奥の台所から義母がそろそろと姿を現した。

背がしだけ丸くなり、着ていたフリースは以のような派なではなく、落ち着いたグレーだった。

「……いらっしゃい、織さん。寒かったでしょう」

その声には、かつての尊な傲さも、を値踏みするような卑た調子もなかった。どこかぎこちなく、客に接するような慮が混ざっていた。

「お邪魔します、お義母さん」

私が会釈をすると、義母は私の元を見た。しっかりと入れされた革のショートブーツ。そして、仕ての良いタートルネックにを包んだ私の背筋の伸びた姿勢。義母はさく目を伏せ、すぐに台所へと戻っていった。

座敷に入ると、京から帰省していた正志さんと美紀さんが、すでに座卓についていた。美紀さんは柔らかなウールのニットを着て、膝ので穏やかにを組んでいる。私と目がうと、さく片目をウインクしてみせた。

夕が始まった。

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