"ICUを出たら、私の家に弟一家が住み着いていた" 第3話
続いて、能気な文が届く。
『お姉さん、入院変ですね! お義母さんから聞いてびっくりしました〜。あ、このネックレスですよね? すっごく素敵です! 私たち、入籍しただけでちゃんとした結婚式挙げてなかったじゃないですか? 実は来、親族だけでさなフォトウェディングをやることになったんです! そのだけ、このネックレスとピアスをお借りできませんか? ちょうどゴールドのアクセサリーを探してたんです!』
画面を見つめる私の界が、りで真っ赤に染まった。
のにでがり込み、部の鍵を勝に付け替え、今度はの引きしを漁って宝飾品をにつけている。
私は指先を震わせながら、く打ち返した。
『貸しません。それは父の形見です。今すぐ箱に戻して、私の部のクローゼットにしまいなさい』
送信した瞬、すぐに既読になった。
だが、返信は来なかった。
代わりに、分、母からヒステリックな着信が入った。
通話ボタンを押すと、番、鳴り声がんできた。
「真由美! あんた、美さんに何て失礼なメッセージを送ったの!」
「失礼なのはあっちよ。私の私物を勝に漁って、につけて写真を送ってきたのよ」
「たかがアクセサリーじゃないの! 族がれの台でちょっとにつけるくらい、貸してあげたらどうなの! ケチくさいこと言ってんじゃないわよ!」
「あれはお父さんが私にくれたものよ。お母さんのものじゃない」
「お父さんの遺品なら、族みんなのものよ! あんたは独で、普段つけもしないで箱にしまい込んでるだけじゃないの! 美さんはこれからうちの孫を育てていく事な嫁なのよ! しはててあげようという気はないの!」
母の甲い声が、鼓膜を痛烈に突き刺す。
独。
子どもがいない。
その言葉を免罪符にすれば、私の尊厳も、財産も、いさえも、すべて弟に差しして当然だと本気で信じているのだ。
「絶対に貸しません。触ることも許さない」
「あんたねえ! 私が美さんにあげるって言ったのよ! もう美さんのものなの!」
「持ち主の許なくの財産を勝に譲渡することはできません。法に横領ですよ」
「族ので法律だの警察だの、みっともないこと言いなさい! だからあんたは結婚もできないのよ!」
母は吐き捨てるように鳴り、話を叩き切った。
プツリと切れた通話の先から、虚無のような静けさが戻ってくる。
の骨折痕が、ずきずきと脈打つように痛んだ。
だが、私ののは、氷を浴びせられたようにえ切っていた。
に任せて鳴り返しても、何も解決しない。
あのたちにとって、「族」という言葉は、私の権利を侵し、搾取するための便利な具に過ぎないのだ。
私が病でけないことを、彼らは最限に利用している。
。
私は何を信じて、この族に尽くしてきたのだろう。
翌朝、美からいメッセージが届いた。
『お姉さん、昨はすみませんでした。ネックレス、元の箱に戻そうとったんですけど、どこかに紛失しちゃったみたいで見当たりません。見つかったら戻しておきますね!』
メッセージの末尾には、をげて笑っている猫のスタンプが添えられていた。
……紛失した?
あの純のネックレスが、たった晩で消えるはずがない。
私はスマートフォンの画面を伏せ、く息を吸い込んだ。
盗まれたのだ。
あるいは、すでにどこかへ持ちされたか。
「……甘く見られたものね」
私はナースコールを押した。
駆けつけてきた護師に、帳とペンを頼み、それから私の勤務先である品卸売会社の経理部の輩に話をかけた。
「佐藤さん、朝くにごめんなさい。です」
「主任!? お体の具はいかがですか? 骨折されたって聞いて……」
「ええ、し落ち着いたわ。お願いがあるの。私のデスクの引きしにある、私物のノートパソコンと、自宅の類が入っている青いファイルボックスを、今の夕方までに病へ届けてもらえないかしら」
「えっ、お仕事ですか? でも、先から静にするように言われてるんじゃ……」
「仕事じゃないの。私の、これからの活を守るための作業よ」
佐藤さんは私の声の険しさを察したのか、息を呑んで「わかりました。