"ICUを出たら、私の家に弟一家が住み着いていた" 第6話
点と点が、恐ろしいほどの鮮さで本の線に繋がっていく。
健はアパートの更料が払えなくて逃げしてきたのではない。
最初から私のを乗っ取り、自分の名義にき換えるつもりで、母と結託して乗り込んできたのだ。
私が事故でにかけている、まさにその瞬を狙い澄まして。
「半分は、あんたの権利……?」
声にした瞬、胃の底に溜まっていたのようなりが、たい刃物に変わった。
私は枕元のノートパソコンをいた。
青いファイルボックスから、に作成された枚の公類を引っ張りす。
枚目は、法務局が発した『登記事項証』。 枚目は、父が急逝した際に作成された、実印の並ぶ『遺産分割協議』。
スマートフォンのカメラを起し、必類を真から撮した。
個報や座番号の部を画像編集でく黒塗りし、美のLINEトーク画面をく。
送信したのは、枚の鮮な写真。
そして、を切交えない、指先ひとつ震わせない事務な文章を打ち込んだ。
『これが、にあなたの夫が署名捺印した遺産分割協議です』
『父の遺産である預貯百万円のうち、健さんは法定相続分である現百万円を、そので満額受け取って清算を完しています』
『私が現の自宅を購入した際、父の遺産から充当したのは、私が正当に相続した私の百万円だけです』
『残りの百万円は私の個貯蓄、残債千百万円は井友での私単独の宅ローンです』
『登記簿の甲区を見てください。所者は「真由美」。持分記載なしの単独所です』
夜分。
送信マークを押した直、画面の隅に『既読』の文字が灯った。
美は起きていた。
それどころか、スマホを握りしめて私の返信を待っていたのだ。
『健さんに、この類を見せてあげてください。彼が持っている権利はゼロです。平方メートルもしません』
『あなたたちが現っている為は、正当な権利のない法占拠であり、刑法の居侵入罪および産侵奪罪に抵触する能性があります』
『来末までの退計画を、面で提してください』
既読がついたまま、分が経過した。
分が経過した。
相側の入力を示す吹きしの点滅が、現れては消え、現れては消えた。
やがて、美から送られてきたのは、わずかだけのい返信だった。
『……健さんからは、そんな話、言も聞いていませんでした』
私はスマートフォンの源を切り、液晶をにしてシーツのに置いた。
暗のに、モニターの械音だけが戻ってくる。
堀は、確実に埋まり始めている。
翌朝、午を回った瞬に、病の話が鳴った。
枕元に置かれた病専用の内線ではない。
私の私用スマートフォンの着信音だ。
ディスプレイに表示された名は『叔母・』。
母の歳の姉で、親族ので最も声がきく、昔から何かとを挟んでくる物だった。
私はベッドのリクライニングをしげ、呼吸をえてから通話ボタンを押した。
「もしもし、叔母さん」
「真由美ちゃん! あんた、体どういうつもりなの!?」
受話器の向こうから、予通りの声が鼓膜を揺らした。
「千代子から泣きながら話があったわよ! 事故でがおかしくなったのかって!」
「母が、何か言いましたか」
「健たちの族をから叩きすって脅したそうじゃないの! 幼い甥っ子たちがいるのをってて、よくそんな酷いことができるわね!」
叔母の声には、自分が絶対な正義の側にっているという確信が満ちていた。
「あんたには夫も子どももいないから、子育ての変さが分からないのよ! 族が困っているに助けうのが、血を分けた兄妹でしょうが!」
喉の奥がカラカラに乾いていく。
昔の私なら、ここで必に弁していただろう。 そんなつもりはない、誤解だと、必に許しを請うていただろう。
だが、今の私のには、さざ波ひとつたなかった。
「叔母さん」
「何よ!」
「私がこの、母のために毎いくら仕送りしてきたか、ごですか?」
「……は? なに急に、おの話なんか」
「母の活費、医療費、膝の術代、実の根の修繕費。