"ICUを出たら、私の家に弟一家が住み着いていた" 第9話
「だから、アパートを引き払って乗り込んできたのね」
「アパートの賃が……先から滞納してて」
美のからた言葉に、私は眉をぴくりとかした。
「滞納?」
「健さんの料だけじゃりなくて。私、パートにてたんですけど、の子が喘息でシフトに入れなくなって……そしたら健さんが、『実に戻れば賃もかからないし、おふくろが活費もしてくれるから配ない』って」
美は震えるでハンドバッグをけ、折り畳まれた数枚の利用細を取りした。
私のベッドのシーツのに、恐る恐る差しされる。
そこに印字されていたロゴを見て、私の喉の奥が凍りついた。
消費者融のキャッシング細。 そして、クレジットカードのリボ払い利用残。
アコム、アイフル、エポスカード。
並んだ数字の計は――百万円。
「……これ、全部健の借?」
「はい。独代ののローンだけじゃなくて、パチンコと、友達の怪しい投資話にをして……毎の返済だけで万円以消えてるんです」
美の瞳から、粒の涙が零れ落ちた。
「フォトウェディングの話も、私が言いしたんじゃないんです。健さんが『おふくろがをしてくれるから、親族への見栄のために式だけは格好つけろ』って……」
私の脳裏で、昨夜エクセルで精査した母の通帳記録がフラッシュバックした。
私が母の座に活費や医療費を振り込むたび、数以内に引きされていた、まとまった現。
引きされていた所は、健のアパートの最寄り駅にあるコンビニATM。
『美さん。健は毎、いくら返済座に入しているの?』
『毎に、万円から万円くらいです。どこから面してるのか聞いても、母さんが都してくれたからおは気にするなって……』
胃の腑が、真っ黒なりで沸騰しそうになった。
母は、私がを削って送っていたを、ただ息子の遣いにしていたのではない。
息子の無軌な借を穴埋めするために、私のき血を抜き取り、裏で流し込み続けていたのだ。
。
私が残業をね、ボーナスを削り、自分の贅沢を切して母のために送ってきたが、消費者融の利へと消えていた。
「お姉さん、あのネックレスは……」
美がバッグの底から、さなベルベットの袋を取りし、震えるで私の布団のに置いた。
袋をけると、父の形見である純のネックレスが、鈍い輝きを放っていた。
「健さんが……質に持っていこうとしてたんです。おに困って。私がのから見つけて、取り返しました。本当に、ごめんなさい……!」
美はそのに泣き崩れた。
私はたくなったネックレスを拾いげ、のひらのにく握りしめた。
のたさが、皮膚を通して骨の芯まで染み渡る。
この弟は、父の形見までに変えようとしていたのだ。
「美さん。顔をげなさい」
私の静かな声に、美は涙を拭いながら恐る恐る顔をげた。
「あなたを責めるつもりはありません。騙されていた被害者である部分は同します」
「お姉さん……」
「でも、私のからていってもらう決定は覆りません」
美の顔が、絶望に歪んだ。
「子どもたちをに迷わせたくないなら、健の借を債務理させなさい。自己破産でも個再でも、弁護士に相談すればやり方はいくらでもある。それをやらずに私のに寄して誤魔化し続けることは、絶対に許しません」
「は、はい……」
「来末までに、確実にをけ渡しなさい。これは最通告です」
美は何度もをげ、逃げるように病をていった。
残された病で、私はノートパソコンのオンラインバンキング画面をいた。
毎に設定されていた、母の座への自送設定。
『活支援:万円』 『医療予備費:万円』
カーソルを『設定解除』のボタンにわせる。
に流されるな。 同は、この族をさらに腐敗させるだけだ。
カチリ、とマウスをクリックした。
自送は、今この瞬をもって、完全に止した。
来以、母の座に私のは円も入らない。
それは同に、健の借返済の資源が、完全に断たれることをしていた。
それから、わずか。