"18年介護した義母が亡くなった翌日、私は横領犯にされた" 第4話
『美さん、このはおのものにはならないよ』
そんな声が、元で囁かれた気がした。
「見ていなさい」
私は声にして呟いた。 爪が掌にい込む。
「あなたが仕掛けたその汚い網、私が全部引きちぎってやるから」
翌朝、午。 私はキッチンの換気扇ので、濃いブラックコーヒーをみ干した。 は顔をわせるのを避けるように、にはをていた。
支度をえ、玄関へ向かおうとした、リビングのテーブルのにの社用タブレットが置き忘れられているのに気づいた。 同に、私のスマートフォンが、載器との接続をらせる子音をてた。
のの鍵には、紛失防止用のBluetoothタグがつけられている。 それがガレージののエンジン始を検し、リビングの私の端末と微にリンクしたのだ。 さらに、がダッシュボードに置いた個用のスマートフォンから、載スピーカーを通じて発信されている通話の音声が、ガレージに面したキッチンの窓から漏れ聞こえてきた。
窓を、わずかにける。
『――だから由加里、焦るなって』
の声だ。ひどく疲弊し、苛っている。
『焦るわよ!』
載スピーカーから響き渡る由加里の甲い声。 声が、朝の宅の空気に突き刺さる。
『の法までに決着つけなさいよ! あの女に百万払わせるの! 払えないなら、あいつが実から持ってきた軽自でも貴属でも売らせればいいじゃない! お母さんの遺産が減ったら、私の取り分はどうなるのよ!』
『わかってる、わかってるから……美も頑なになってるんだ。に刺激すると、弁護士をてて沼になる』
『何言ってんのよ! お母さんの申述があるのよ!? 親戚みんな、あいつが犯だって信じてるわよ。叔父さんたちにも話してあるんだから。法の席で、親族同ので座させてかせればいいのよ! あんた、それでもの男なの!?』
『……ああ、もう! わかったよ。法事のまでに、俺から何とかサインさせる。それでいいだろ!』
プツン、と通話が切れる音がした。 続いて、激しいエンジン音が響き、のがガレージから猛スピードで発していった。
私は、窓のサッシにをかけたまま、かなかった。
(……なるほどね)
胸の奥の揺は、完全に消えっていた。 あるのは、透き通るような徹な考だけだ。
由加里は、に困っている。 百万円という具体な額に、異常な執着を見せている。 そして親戚に根回しをし、の法という「世体」が最もくのしかかる親族の面で、私を吊しげてをむしり取る算段をてている。
夫は、それを止めるどころか、妹の剣幕に怯えて私を差しす約束をした。
「等じゃない」
私は鍵を掴み、をた。
向かったのは、駅から徒歩分の所にある方の支だ。 平の午、内は齢の客が数、番号札を持って待している程度だった。
窓に座り、私は用してきた類を然と差しした。 義母の除籍謄本、私の分証、そして昨弁護士から交付された『受任確認および代理権授与』の写し。
「故・佐子の直の取引履歴示をお願いします」
窓の若い女性員は、受任確認の文面を確認すると、し困惑したように奥のブースへ類を持っていった。 数分、融資・法務担当の腕章をつけた初老の男性員が戻ってきた。
「美様ですね。こちらの受任確認ですが、の委任状に基づく示請求につきましては、故となられた現、本来は相続全員の同が必となります」
「承しています」
私は即座に切り返した。
「ただし、この受任確認には『本に基づく管理事務の清算のため、においても座の取引細の確認権限を認める』旨の特約が付記されています。また、私は現、相続財産の使途に関して相続から当な損害賠償請求の告を受けており、自己防のための正当な利害関係をしています。拒否されるのであれば、正式な弁護士照会および裁判所を通じた文提命令の続きに切り替えますが、そのに任示の否を法務部にご確認いただけますか」