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"18年介護した義母が亡くなった翌日、私は横領犯にされた" 第14話

と言い放った男の、無様な姿。

私は、自分のスカートを掴む夫の指先を見ろした。

たいが、け放たれた障子から吹き込み、線のをい散らせる。

「さん」

私はバッグの底から、もう通の、青い用を取りした。 あらかじめ弁護士の確認印が押された、公な面。

それを、の涙で濡れた額のすぐ横――畳のに、音もなく滑り込ませた。

『婚協議』

そして、そのにもう枚。

『法為に基づく損害賠償請求予告通』

の呼吸が、喉の奥で詰まった。

「……え?」

「あなたのお母様と由加里さん、そして共同法為者としてのあなたに対する、慰謝料請求の通です」

私は夫のを、容赦なく先で払い除けた。

「、お疲れ様でした。に戻りましょう」

畳のに滑り落ちた青い類の束。 「婚協議」の文字が、線の煙のでく浮きがっていた。

は、目を見いたまま固まっていた。 額を畳に擦り付けた姿勢のまま、首だけを信じられないといった様子で持ちげる。

「……り、婚……?」

掠れた声。

「美、待ってくれ……! 母さんと由加里がやったことだろ!? 俺は……俺は何もらなかったんだ! なんで俺まで切り捨てるんだよ!」

「何もらなかった?」

私は歩、ろへ引いた。 すがりつこうと宙を泳ぐ夫の指先が、空を切る。

「さん。今、私がこの証拠を持ってこなかったら、あなたはどうするつもりだった?」

の唇が、刻みに震えた。 言葉がてこない。

「『百万円をて替えろ』って、私を犯に仕てて親戚ので座させるつもりだったわよね。違う?」

「それは……波をてないために……」

「そう。あなたは真実なんてどうでもよかった。母親の狂気も、妹の横領も、妻の無実も。ただ自分が親戚から責められず、会社での体面が保てるなら、妻を棒にして代百万を払わせても構わないとっていた」

声はどこまでも平坦だった。鳴る気すら起きない。

「あなたが今、私に謝っているのは、私の潔が証されたからじゃないわ。私を悪者にできなくなったから、慌てて逃げを探しているだけ」

の顔から、完全に表が抜け落ちた。 図を突かれたの、無残な沈黙。

「、あなたは度たりとも、私自を見ていなかった。あなたの世体を飾るための、便利な政婦としかっていなかったのよ」

「美……頼む、考え直してくれ……! 母さんもんだんだ、これからはで――」

「んだから許されるわけじゃない」

私は言い捨てた。 広の親族たちを見渡す。 宗男叔父も、の親戚も、誰も私と目をわせられない。

「佐伯弁護士を通じて、正式な財産分与と慰謝料の請求を送付します。このの持分、私がて替えた義母の入院費、そして由加里さんへの損害賠償。

円たりとも負けません」

礼もせず、踵を返す。 背から「待って! 美さん!」と叔母の誰かが声をかけたが、度も振り返らなかった。 障子をけ、本堂をる。 へ向かう砂利を踏みしめるたび、背からい鉛の鎖がれていくような、確かな応えがあった。

翌週、私は佐伯弁護士のオフィスで対面していた。 テーブルのに並んだのは、卓で弾かれた徹な数字のリスト。

「美さんの取り分ですが、法に極めて固です」

佐伯弁護士はペン先で資料を指し示した。

、自宅産の美の持分(として実が資した割分、価換算で約百万円の精算請求)。 、義母のヶの入院費および医療消耗品費の替、計百万円の遺産からの優先償還。 、由加里に対する私文偽造・同使、および名誉毀損に伴う損害賠償請求百万円。 、に対する婚姻関係破綻の責配偶者としての慰謝料百万円。

「由加里氏の借はどうなりますか」

私が尋ねると、佐伯弁護士は皮肉な笑みを浮かべた。

「ネクサス・コンサルティングですが、警察の活全課と融庁へ告発状を提しました。無登録営業と資法違反の疑いで、すでに当局の内偵が入っています。由加里氏が役員として名を連ねている以、民事の返済義務だけでなく、刑事責任の追及を免れることは能です。

の本筋にも連絡を入れましたが、宗男氏をはじめ親族同、完全に由加里氏との関係を断絶すると通告してきましたよ」

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