"百万円を積まれても、他人に戻る" 第4話
「昨、おっしゃいましたよね。『男の子が産めないならていけ』と」
「それは……!」
「葵と結がまれた、お祝いのつも寄越さず、『また女か』と吐き捨てましたよね。親戚の男の子には価な玩具を買い与えて、葵の誕には百円均のドリル冊でした。ずっとを『跡取りじゃない役たず』扱いしてきたあなたが、なぜ今さら引き取りたいんですか?」
義母の顔が、りと羞恥で赤黒く染まっていく。
「な、何を昔のことをネチネチと! 私はしつけとして厳しく接してきただけよ! 孫をがって何が悪いっていうの!」
「世体でしょう」
容赦なく、言葉を突き刺す。
「嫁に逃げられ、孫まで連れてかれたと所にられるのが恥ずかしいだけじゃないですか」
「美咲!」
ろにいた夫が、たまらず声をげた。
「母さんに向かってそんな言い方ないだろ! 母さんは孫のことをって……」
「っているなら、母親の顔を殴ったりしない」
夫の言葉を、たく遮った。 夫は言葉を失い、喉を鳴らして黙り込んだ。
その、背でパタパタと音がした。
見ると、葵が廊の曲がり角から歩いてきていた。 私の元へ駆け寄り、私のスカートをさなでぎゅっと握りしめる。
義母は葵の姿を見るなり、わざとらしい笑みを浮かべた。
「ああ、葵ちゃん! おばあちゃんがお迎えに来たわよ。
パパのおうちへ帰りましょう。お菓子も買ってあげるからね」
猫なで声。 反吐がるほどの変わりのさ。
けれど、葵はそのから歩もかなかった。
私のろに体を半分隠しながら、さな、けれどはっきりとした声で言った。
「……かない」
義母の笑顔が、ピキリと凍りついた。
「え?」
「おばあちゃんのおうち、かない。わたし、お母さんとここにいる」
歳の女の、確な拒絶。
所のの窓が、カタツとく音がした。 宅の昼がり。 玄関先で喚き散らす老婆と、拒絶する孫の姿は、すでに周囲の目を集めていた。
義母は周囲の線に気づいたのか、顔を引きつらせた。
「な……なによ、気な! 母親がそんなふうに吹き込んだんでしょう! 親の顔が見たいわ!」
「私の親の敷居を、これ以跨がないでください」
私はドアチェーンをすことなく、静かに言い放った。
「子供たちを力尽くで連れるなら、今すぐ警察を呼びます。未成者略取です」
「け、警察……!? あんた、実の親族相に何を言ってるの!」
「私は本気です。お引き取りください」
義母がさらに何かを喚こうとしたが、夫が慌ててその腕を引っ張った。
「母さん、もうやめよう。所のも見ている……」
「しなさいよ! あんたがだらしないから、こんな女に舐められるのよ!」
みっともない言い争いを背に受けながら、私は無言で玄関のドアを閉め、内鍵をしっかりと回した。
ガチャリ、とい属音が響く。
から、義母のヒステリックな鳴り声と、夫の宥める声がざかっていくのが聞こえた。
玄関ホールに、静寂が戻る。
私はそのにしゃがみ込み、葵を抱きしめた。 葵の体は、さく張っていた。
「……怖かったね。よく言ったね」
葵は私の首に腕を回し、顔を埋めてきた。
「お母さん……」
「ん?」
「わたし、お父さんのことも、きらいになりそう」
胸の奥が、鋭利な刃物で抉られるように痛んだ。
父親が母親を守らず、祖母の理尽な暴力を放置した。 その醜態を、歳の子がすべて見て、理解している。
「葵は、何も悪くないからね」
私は娘の背を、何度も、何度も撫で続けた。
そのの夜、夫から再びメッセージが届いた。
『母さんに恥をかかせて満か? 調子に乗るなよ。族を壊しているのはおだ』
保が崩れ、いよいよ本性を現してきたらしい。 私はその文面をスクリーンショットで保し、クラウドの証拠フォルダへ放り込んだ。
戦う準備は、着々とっている。
翌週、私は法テラスを通じて選任した弁護士、田の事務所を訪れた。
田弁護士は代半ばの落ち着いた女性で、私が持参した資料――顔の腫れを記録した受診カルテ、婚届と相親写真の画像、暴言の録音データ――を丹に確認した。
「完璧な初です、藤原さん」
田弁護士は鏡の縁を押しげ、静かに頷いた。
「相方の暴力と方な追いし為が確に証できます。