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完結第17話
「お母さんのところに行きたい」9年後に届いた娘の声
離婚から九年、娘に嫌われたと信じ一人で生きてきた私。路頭に迷う元夫の弟を助けたことを機に届いた古い録音機から、十四歳の娘の泣き声が再生される。「お母さんのところに行きたい」。あの子は自分から父親を選んだのではなかった。だが、二十三歳になった娘と再会した私を待っていたのは、涙の抱擁ではなく「なぜ十八歳の時に探してくれなかったの?」という冷たい詰問だった。裡切られた|真実|孤獨|親子関係2.5万字5 27 -
完結第16話
作業着の夫を笑った同級生と、80万円の偽鑑定書
卒業50周年の同窓会で、住恵は旧友たちから「70歳まで町工場で働くなんて、貧乏な旦那さんでかわいそう」と夫・高志の仕事を笑われる。だが、その席で幹事の美恵子が「数年後には何倍にもなる」と1個80万円の漆器を勧め始めた。保証元として示されたのは、文化財を扱う「北山文化財修理工房」の鑑定書。住恵は印影の不自然さに気づき、美恵子が「責任者に直接確認した」と断言する会話を密かに録音する。友人が送金寸前となった時、住恵は契約を止め、夫へ書類の写真を送った。 やがて青い作業着姿の高志が会場に到着。胸には、まさにその工房名が刺繍されていた。実は彼こそ北山文化財修理工房の修理責任者だったのだ。高志が鑑定書を見た瞬間、「この書類を私たちの工房が発行した事実はありません」と告げる。 先ほどまで夫婦を嘲笑していた美恵子の顔から血の気が引き、80万円の漆器に隠された本当の狙いが暴かれ始める――。日常ホラー|孤獨|修羅場2.4万字5 494 -
完結第38話
末席の男が放った三百億の通告
「パパに頼んで取引を切る」――二十四年ぶりの同窓会、頭取令嬢のエリは安スーツの俺を嘲笑い、名刺の裏に『頭下げに来る時パパに通しとく』と書き殴った。 貧乏人として末席に追いやられた俺は、静かにスマホで一行の指示を送る。 「じゃあ、三百億全部解約で」 大ホラと吹き出す同級生たち。だが翌朝、父親の銀行から百件を超える悲鳴の電話が鳴り響く。 誰も知らない。かつて中古トラック一台から始まった俺の会社と、頭取が交わした二十年前の「ある書類」の存在を。 冷え切った会議室に名刺を突き出し、俺は言った。 「これも、冗談ですか?」怒り|孤獨5.7万字5 1720 -
完結第13話
毒を運ばされていた私
身寄りのない老女を七年間、親身に介護してきた。 だが彼女が急死した朝、私は身に覚えのないクレームで停職になり、団地を追い出される。 老女の部屋の床下から見つかったのは、七年前に心筋梗塞で死んだはずの隣人の実印と、大量の未開封の降圧剤。 そして「八十度のお湯で三分間」と記された、私が毎日淹れさせられていたお茶の調合メモだった。 震える手で茶葉の残りを握りしめたまま、私は白衣の友人に分析結果を求めた。裡切られた|相続|真相|孤獨|介護2.0万字5 431 -
完結第18話
あんたの金なら一滴も飲まない
骨折した母を看病するため実家に戻ると、玄関に毎朝一本の瓶牛乳が届いていた。九年前に他界した父が契約したはずのそれは、見知らぬ父の元後輩が自腹で代金を払い続けていたものだった。私が「これからは娘の私が引き継ぐ」と申し出ると、母の表情は一変し、「あんたのお金なら一滴も飲まない」と冷たく拒絶される。父の遺言はとっくに半年で終わっていた。見知らぬ男の好意を受け入れ続けながら、実の娘の親孝行を「監視」と呼んで頑なに拒む母の前に、男の引っ越しというタイムリミットが迫っていた。真相|孤獨|親子関係2.1万字5 421 -
完結第16話
七年前に死んだ母の退院
七年前に他界した母の退院を知らせる電話が病院から届いた。駆けつけた病室にいたのは全く見知らぬ七十七歳の老人。だが彼女は私を見るなり「まだ椎茸嫌い?」と幼い頃の癖を言い当て、身元引受人欄には母の几帳面な直筆文字が残されていた。行政の登録ミスだと判明するも、老人は「和枝さんが迎えに来る」と退院を拒絶する。さらに兄から、母が生前「生け花教室」と嘘をついて毎週火曜日にこの老人のアパートへ通っていたと知らされ――。孤獨|親子関係|認知症2.5万字5 1467 -
完結第17話
十一時八分の「家に着きました」
番号を変えた翌日から、見知らぬ番号から毎晩十一時に届く「家に着きました」というSMS。関わりたくない一心で三年間一度も返信しなかったが、ある火曜の夜に途絶え、翌朝病院から「妹さんの緊急連絡先になっている」と呼び出された。病室の女は間違いと知りながら三年送り続けたと認め、私が突き放すと、今度は本当の姉が怒鳴り込んでくる。さらに退院した女は、静かに告げた。「もう送りません。あなたを知ってしまったからです」兄弟姉妹|孤獨|介護2.6万字5 1030 -
完結第16話
作文の余白に書かれた秘密
中学二年の秋、国語担任の森下先生が突然休職した。だが一週間後、オンライン提出した作文に先生の筆跡で赤ペンの添削が届く。『昨日、お弁当箱を返せたでしょう』文章に書いていない家庭の秘密まで知る言葉に教室は騒然となるが、校方は先生のアカウントが休職初日から凍結されていると断言した。アクセス元は校内の複数端末。代課の教師が「悪質な悪戯」と断じ、三十日後の保護者会での担任解任を告げる中、先生の言葉を騙る添削は、同級生たちが必死に隠していた家庭の傷口へ容赦なく踏み込み始めていた。ミステリー|孤獨|親子関係2.1万字5 229 -
完結第18話
ゴミ箱の隣に座る学年一位
学年1位を守り続けてきた娘が、二学期に入ると突然一番後ろの席に移動させられ、学級委員長も外された。何か処分を受けたのかと学校へ詰め寄る私に、娘は「この席でいいの」とだけ言い、何も説明しようとしない。納得できないまま迎えた参観日、教室の後ろに立つ私は、娘の隣にぽつんと置かれた空っぽの机に気づいた。誰の席なのかと問い詰める私に、担任は教室の隅を見つめ、「娘さんが残してくれと頼んできたんです」と静かに告げた。怒り|真実|孤獨|親子関係|修羅場2.8万字5 260 -
完結第22話
母は死んだと書いた娘
夫の連れ子だった八歳の娘を引き取り、七年間毎朝弁当を作り、熱を出せば夜通し看病を続けてきた。ぎこちなくとも穏やかに暮らしてきたはずの中学三年の秋、担任に呼び出された私は、娘が提出した調査票を見て言葉を失った。家族欄には「実母は七年前に他界、父と二人のみで生活」と書かれ、私の名前は存在すら消されていた。裡切られた|夫婦|孤獨|修羅場3.3万字5 612
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