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完結第17話
父親になりたくないなんて、一度も言ってない
結婚七年目、子を望まない私に夫は「二人だけで暮らそう」と微笑んだ。長年の争いが終わり、ようやく理解し合えたと泣いた私。けれどその日を境に、夫の口から将来の夢も旅行の計画も消えた。空き部屋を書斎にしたいと告げても、「好きにして」と目を伏せるだけ。不気味な平穏に怯える深夜、私は夫が親友に漏らした本音を聞いてしまう。「……父親になりたくないなんて、一度も言ってないよ」と。夫婦|修羅場2.6万字5 160 -
完結第7話
薬を飲むと、母が消える
大地震で家を失った私の前に、母は毎日現れる。けれど、薬を飲むと消えてしまう。ある日、母の救助を阻んだという男が訪ねてきた。灰色の作業着、失われた2本の指、私が握っていた青い袖。あの夜、本当は何があったのか。親子関係2.0万字5 28 -
完結第20話
「いなくても回る」と言われた私に、12件の着信
娘の急発熱で有休を申請した私に、社長の息子の嫁である副主任は「あなたがいなくても回る」と嘲笑した。だが引き継ぎを残して休んだ月曜、スマホには12件の不在着信。出社するや否や出荷ミスの責任を擦り付けられるが、操作ログに刻まれていたのは彼女自身のIDだった。都合よく責任を押し付け続けた会社に対し、八年間耐えてきた事務員が静かに下した決断とは。職場逆転|因果応報3.0万字5 752 -
完結第16話
作業着の夫を笑った同級生と、80万円の偽鑑定書
卒業50周年の同窓会で、住恵は旧友たちから「70歳まで町工場で働くなんて、貧乏な旦那さんでかわいそう」と夫・高志の仕事を笑われる。だが、その席で幹事の美恵子が「数年後には何倍にもなる」と1個80万円の漆器を勧め始めた。保証元として示されたのは、文化財を扱う「北山文化財修理工房」の鑑定書。住恵は印影の不自然さに気づき、美恵子が「責任者に直接確認した」と断言する会話を密かに録音する。友人が送金寸前となった時、住恵は契約を止め、夫へ書類の写真を送った。 やがて青い作業着姿の高志が会場に到着。胸には、まさにその工房名が刺繍されていた。実は彼こそ北山文化財修理工房の修理責任者だったのだ。高志が鑑定書を見た瞬間、「この書類を私たちの工房が発行した事実はありません」と告げる。 先ほどまで夫婦を嘲笑していた美恵子の顔から血の気が引き、80万円の漆器に隠された本当の狙いが暴かれ始める――。日常ホラー|孤獨|修羅場2.4万字5 494 -
完結第19話
ママ、弟が生まれたらママも譲るの?
妊娠七ヶ月の私が牛肉を二切れ食べただけで、「家中の肉を食べ尽くす気?」と義母は笑った。 居たたまれずに箸を置いた私を見て、六歳の娘は、大好物で最後まで大事に残していた肉を私の茶碗に乗せた。 「ママ食べて。弟にあげて」 大人はみんな「優しい子ね」と笑った。けれどその夜、娘は震える声で私に聞いたのだ。 「弟が生まれたら……私、ママのことも譲らなきゃいけないの?」嫁姑|親子関係2.8万字5 377 -
完結第17話
偽装結婚と消えた二十四の図面
「一年だけ私の夫になって」 冷たい雨の工事現場。三年前に理由も告げず僕を解雇した元上司・篠原冴子が差し出した契約書の報酬は、亡き父の遺した借金と同額の「一千八百万円」だった。 設計士の夢を奪われ、大工見習いとして泥にまみれる洋介は、借金完済のため奇妙な偽装結婚に応じる。だが、殺風景な冴子の部屋には『1』から『24』の謎のファイル。やがてかつて自分が手がけた分譲地で耐震偽装が発覚し、壁の中の「消えた筋交い」の図面には、なぜか冴子の署名と捺印が残されていた――。 裏切りか、それとも。臨時株主総会の壇上、三百人の視線が突き刺さる中、洋介はマイクの前で静かに息を吸い込んだ。夫婦|裡の顔2.6万字5 339 -
完結第22話
離婚しても、うちの嫁を辞めていいとは言ってない
十七年の婚姻を終えた日、元夫一家は「やっと自由だ」と高級店で祝杯をあげた。しかし一週間後、元姑から「明日は通院日よ、車を出して」と当然のように電話が入る。「妻は辞めても嫁は辞めさせない」と憤る元夫一家を拒絶した私。初めて実母の病院に付き添った元夫は、六時間を超える待ち時間と検査の多さに打ちのめされ、玄関に残された五年分の膨大な管理ノートを開いて震え始める。因果応報|介護3.3万字5 525 -
完結第16話
夫の会社に弁当を届けたら「昔の知人」にされた
単身赴任中の夫を喜ばせようと、手作り弁当を持って横浜のオフィスを訪れた妻。だが受付で告げられたのは「奥様なら午前中にいらっしゃいました」という不穏な言葉だった。現れた夫は同僚の女性の前で妻を「昔の知り合い」と呼び、二年間も独身を偽っていたことが発覚する。職場で孤立した夫から「お前が横浜に来て俺の面目を立てろ」と要求された時、妻はテーブルの上に二通の書類を静かに並べた。裡切られた|修羅場2.5万字5 1729 -
完結第20話
小一の息子の問い「ママ、僕を捨てたの?」
半年間の闘病を終えて退院した妻を待っていたのは、「家に戻るな」という夫からの冷酷な宣告だった。小学一年の息子に会いたい一心で自宅へ向かうと、そこには妻の私物が処分され、軍隊のような日課表で息子を縛る夫の姿があった。さらに小学校から呼び出された夫婦に、担任から差し出されたのは息子の作文。「お母さんを家に帰してはいけません」――七歳の子が背負わされていた、歪んだ生活の現実に直面する。夫婦|親子関係3.0万字5 66 -
完結第15話
前のパパをこっそり好きじゃダメなの?
娘の再婚が決まり、安堵したのも束の間。七歳の孫が持ち帰った「家族の絵」は、実父の姿だけが紙の破けるほど消しゴムで削り落とされていた。「新しいパパを悲しませないため」と怯える孫は、新居で完璧な息子を演じ、思い出のオモチャを生ゴミに捨てられる。大人の都合で塗り潰される子どもの心。祖母である私は、両家が揃う祝いの席で、隠された事実を突きつける決意をする。祖父母と孫|親子関係2.3万字5 50 -
完結第18話
12年消えていた元夫が、娘の式で「父親」になる
クリーニング店を営み、女手一つで娘を育て上げた文子。娘の結婚式当日、12年前に蒸発した元夫が現れ「陰で娘を支えてきた」と嘘の美談を語り喝采を浴びる。悔しさを押し殺す文子に、娘は「父親の顔を立てて」と懇願。娘も嘘を知りながら父親を選んだのだ。さらに元夫は娘婿の家にも接近し、家族の過去を都合よく書き換えようとしていた。裡切られた|親子関係2.8万字5 68 -
完結第16話
もう来るな
「夜6時を過ぎたら案内するな」――店長の忠告を破り、江口は夜8時の内見を引き受けた。塗り直しても浮かぶ血文字、消してもつく照明、夢に現れる赤い服の男。そして、初めて来たはずなのに、家の中を妙に知っている女性客。「もう来るな」と追い払われながら、江口は、この家がいつまでも売れない本当の理由に近づいていく。日常ホラー1.3万字5 39 -
完結第19話
歩けるようになった夫が、最初に捨てたのは私だった
下半身麻痺の夫を支え、仕事を辞めて介護に捧げた三年間。自力歩行を取り戻した夫を祝う夜、差し出されたのは単身用アパートの契約書だった。「お前の顔が拷問なんだ」と吐き捨てる夫。さらに病院には、夫が独断で提出した「配偶者関与の除外申請書」まで存在していた。献身という名の呪縛に気づいた妻は、崩壊した日常の中で、自分自身の足で立ち上がる選択を迫られる。夫婦|介護2.8万字5 4073 -
完結第19話
5年ぶりに帰宅した夫と、もう父親を必要としない家族
5年の単身赴任を終えて帰宅した夫が、夕食の席で突然「来月名古屋へ引っ越す」と告げた。高3の娘の大学受験も、私が努力して掴んだ副店長の席も「暇つぶし」と切り捨てる夫は、すでに会社へ家族帯同を確約していた。だが、父の不在中に自立した生活を築いてきた妻と娘は、もはや昔の従順な家族ではない。男の見栄のために日常を解体されようとした時、妻はある書類を手に立ち向かう。夫婦|親子関係2.8万字5 5452 -
完結第18話
「子どもがいないから」と義妹の長男を譲ろうとする義家族
義妹の出産日、義母に命じられ迎えに行った五歳の甥。電車の中で「ママに捨てられたの?」と泣き出す甥に驚き帰宅すると、私の大切な部屋には勝手に子どもの布団が敷かれ、夫の字で偽造された長期養育の書類が置かれていた。「子どもがいないんだから」と押し付ける義家族の身勝手さに、私は世話の引き受けを一切拒否。すると、甥が保育園で描いた一枚の異様な絵をきっかけに、家族の歪みが暴かれ始める。嫁姑|夫婦2.7万字5 348 -
完結第14話
息子の成人式で夫は言った「お前は本当の母親じゃない」
四歳から十六年間、無我夢中で育ててきた息子の成人式。全額前払いした写真館で、夫は私を枠外へ追いやった。「この人は実母じゃないから」。現れたのは十六年前に姿を消した元妻だった。物分かりのいい母親を演じることをやめ、夫への家事を一切放棄した私。凍りついた家の中で、息子の部屋の奥から夫の隠していた「ある筆跡」が見つかり――。裡切られた|親子関係2.1万字5 185 -
完結第15話
清掃員の母を消した息子の結婚式
二十年間、病院清掃のパートで息子を育て上げた。だが息子の結婚式直前、「式で仕事のことは周りに言わないでくれ」と釘を刺される。納得のいかないまま迎えた翌朝、息子の婚約者から「本当に式を欠席されるんですか?」と一本の電話が入る。急ぎ式場サロンへ向かった私の目に飛び込んできたのは、赤ペンで無残に消された新郎母の席次表と、隠されていた息子の嘘だった。親不孝|親子関係2.2万字5 1548 -
完結第16話
少女を救った川の底に、私の元妻がいる
川で溺れていた少女を救った高瀬直人。だが、救助隊に川底を捜されるわけにはいかなかった。そこには、行方不明になった元妻がいる。やがて彼を訪ねてきた女性警察官は、10年前、直人が同じ川で救った少女だった。家に残された車椅子と呼吸器。そして、元妻が「今は見ないで」と託した記録。直人は何を隠し、誰との約束を守ろうとしているのか。日常ホラー2.1万字5 248 -
完結第15話
19歳で相続した呪われた屋敷
父を亡くし、天涯孤独となった19歳のしずが相続したのは、村人から「呪われた隠れ屋敷」と恐れられる山奥の古い家だった。莫大な借金まで背負う土地を手放さず、たった1人で暮らし始めた彼女は、囲炉裏のそばで不自然に響く3枚の床板を見つける。 床下の石段の先に隠されていたのは、色褪せたショール、壊れた懐中時計、子供の靴、そして父が残した手紙。そこには、過去に4人の旅人が命を奪われ、最木家が長年その秘密を背負わされてきた事実が記されていた。 さらに帳簿と古文書を辿るうち、事件の陰に村を支配してきた黒崎家の存在が浮かび上がる。 夜には灯油まで持ち込まれ、屋敷ごと証拠を消そうとする者まで現れる。それでもしずは逃げなかった。「明日、床板を全て剥がす」――父と一族の汚名を晴らすため、彼女は村全体を巻き込む告発を決意する。相続|金銭問題2.2万字5 141 -
完結第11話
愛人の妊娠と封印されたカルテ
「新しい命を授かった。子供を産めない君は出て行け」 目の前には一枚の離婚届。二十五年もの間、家事と介護に身を捧げてきた恵子は、若い愛人の妊娠に歓喜する義母と夫から、不用品として切り捨てられた。「石女」と罵られ、身一つで追い出された恵子だったが、取り乱すことなく静かに判を押す。なぜなら彼女の手元には、十五年前に夫自身が闇に葬った大学病院の「ある診断書」が眠っていたからだ。 数週間後、勝ち誇って愛人の妊婦健診に付き添った夫。だが、診察室で医師が冷淡に告げた胎児の推定週数に、夫の顔から血の気が引いていく――。 「……先生、どうしてその計算になるんですか?」夫婦|真相1.6万字5 1426