"「魚臭いから焼肉屋へ」30人を連れ去った義妹が広めた嘘" 第10話
「が断ったのではない。あなたが最初から、魚に分の料理を作らせたまま放置し、同窓には毒と嘘をついて牛吉へ誘導した。……違うかしら?」
「ち、違う……! 私はみんなのために……!」
「じゃあ、この数字の説をお願いできるかしら」
さんが、卓と枚の請求を理恵の目のに叩きつけた。バチン、とい音が机に爆ぜる。
「参加者名から徴収した会費、万円。計万円」
さんはボールペンの先で、牛吉の正式な領収控えを突き刺した。
「牛吉への実際の支払い総額、万千百円。名分のコース料千百円。……幹事名無料の特典を使って、あなた自の代はタダになっているわね」
理恵の呼吸が、目に見えて荒くなる。
「差額、万百円。さらに、牛吉から幹事特典としてあなた個に渡された、商のお事券万円分」
さんが顔をげ、氷のようにたい目で理恵を射抜いた。
「牛吉のに確認したわ。『特急料』なんて名目は円もしない。あなたは緊急の会変更にかこつけて、同級全員から千円ずつ余計にを巻きげ、計万円以の品を自分の懐に収めようとした。……これはただの嘘じゃない。横領と詐欺よ」
「ち、違う! 違わないけど、違うの!」
理恵のから、崩壊した本語が漏れた。
額に脂汗が滲み、握りしめたハンドバッグの具がカタカタと震えている。
「私は……みんなのためにったの! 幹事なんて面倒なこと引き受けてあげたんだから、の賃をもらったって当然じゃない! お義姉さんのだって、魚臭いのは本当じゃない! 親戚なんだから、キャンセル料くらいタダにしてくれたっていいでしょ!? なんでみんなして私を責めるのよ!」
「のに毒の汚名を着せて、自分の遣い稼ぎの踏み台にすることが、あなたの言う『当然』なの?」
私のい問いかけに、理恵は耐えきれなくなったようにを塞いだ。
の同級から集めたをごまかし、義理の姉のを破壊してに入れようとした万円。その浅ましい計算のすべてが、公衆の面でのに晒されていた。
「もういい! 帰る! こんなの言いがかりよ!」
理恵はパイプ子を派に蹴倒し、の引き戸へ突した。鍵を力任せに回し、け放つ。
「理恵さん、逃げる気!?」
さんの鋭い声が背に浴びせられる、理恵はを塞いだまま、猛烈な勢いで廊をりった。
ドタドタという音が響き、突き当たりにある女子トイレのい扉が、激しい音をててバタンと閉まった。
静まり返った公民館の廊に、甲い鍵の閉まる音が響き渡った。
個のドアを内側から施錠し、理恵は便器のフタのにへたり込んでいた。
荒い呼吸のたびに、肺の奥がひりひりと焼けるように痛む。
全から噴きすや汗で、ブラウスが背に気持ち悪く張り付いていた。指先が激しく震え、バッグからスマートフォンを取りすことすらままならない。
「なんで……なんでバレてんのよ……!」
牛吉のがを割るはずがなかった。あのな同級の澤が、品のプロだなんてるはずがなかった。何より、あのしくて何を言っても曖昧に笑って許してきた奈緒が、まさか本気で契約を盾に乗り込んでくるなど、にもっていなかったのだ。
個のいドアの向こうから、さんのたい音がづいてくるのが聞こえる。
「理恵さん、鍵をけなさい。逃げても警察に被害届をすだけよ」
ヒッ、と喉の奥で鳴ががった。警察。被害届。その言葉の持つ現実なみに、目のが真っ暗になった。
親戚にれ渡る。夫にられれば婚されるかもしれない。所やママ友にられたら、こので度ときていけなくなる。
「お兄ちゃん……! お兄ちゃん、お願い……!」
理恵は涙とでぐしゃぐしゃになった顔で、震える親指を画面に叩きつけ、兄・健の番号を呼びした。
プルル、プルル、と鳴るコール音が、永のようにくじられる。
頼むからて。いつもみたいに、「しょうがないな」
って笑って、お義姉さんを説得して。お兄ちゃんがに入ってくれれば、全部「内のちょっとしたき違い」