"月40万円を10年送った妻を捨てた夫の誤算" 第7話
「はい。今までお世話になりました」
私がをようとすると、背から若い女性の声が聞こえた。 「本当にかわいそうなおばさん。これからでどうやってきていくのかしら」 の楽しそうな笑い声が響く、私は振り返ることなくのへた。
午、会社のデスクで仕事をしていると、携帯話が鳴った。 彦からのメッセージだった。 『たった今婚届を提した。これで終わりだ』
私はその文章を見て静かに微笑んだ。 ええ、これで終わりです。そして、ここからが本当の始まりです。 私はパソコンの横にあるカレンダーを見つめた。
今は。吉沢の宅ローンの引き落としは、毎だ。あと。 『切の干渉や援助をわない。支払いについても各自で責任を持つこと』 彦が自分で用し、私にサインさせたあの類。それが、彼ら自の首を完全に絞める決定な証拠となったのだ。
私の座からの自送はすでに止されている。 の朝、吉沢の引き落とし座は残になるだろう。 嵐のの静けさが、気なほど穏やかに続いていた。
、私は仕事の帰りにのATMにち寄った。 古い通帳を械に入れると、ジジジという音が鳴る。 しいページに最のが印字されててきた。
『自送解約』という文字だ。
この、私は毎欠かさず万円を送り続けてきた。 送先は幸子が管理している座だ。 彦は自分の料からそのおがていると信じ、幸子も息子からの仕送りだとい込んでいる。
しかし、彦の料は毎彼の個座に振り込まれる。 彼はそこから自分の遣いやのローンを引きしていた。残ったおはせいぜいに万円程度だ。 それだけで、どうやって毎万円の仕送りができるというのか。彼はそんな簡単な計算すらしたことがない。
私は毎、彦の座に残ったおを自分の座に移し、そこに私の料と副業の収入をしていた。 血を吐くようないで万円を作り、私の個座から幸子の座へ自送していたのだ。 つまり、幸子の座に毎振り込んでいたのは「クミコ」という私の名義だった。
なぜ幸子はそのことに気づかなかったのか。 彼女が通帳の記帳を全くしないだったからだ。 毎キャッシュカードで現を引きすだけで、誰から振り込まれたのかを確認したことは度もない。
宅ローンのほか、固定資産税や災保険も、私が送した万円から自で支払われていた。 幸子は引き落とされたに残ったおを、自分たちの活費として使っていたのだ。
彦も幸子も、おというものを全く理解していない。見えないところで誰かが必に計算し、汗を流して作っていることをろうともしなかった。
彦はよく私にこう言っていた。 「おは経理なんだから、のくらいうまく回せるだろう。おはただ計算していればいいんだ」 彼は、おが魔法のように増えるものだとっていた。
義父も同じだ。の借でを放す寸だった、それを助けたのは私が貯めていたおだった。 でも義父は、彦が助けてくれたのだと泣いてんだ。 私は夫をてるために、すべての柄を彼に譲った。私の優しさは、彼らのいがった態度を育てただけだった。
今でが終わる。は運命のだ。 吉沢の座からは数万円の宅ローンが引き落とされる予定だが、残はおそらく数千円しか残っていないはずだ。 当然引き落としは失敗し、は幸子に連絡をするだろう。
その、幸子はどうするだろうか。 きっと慌てて彦に話をかけ、「今の仕送りがまだ入っていない」と伝えるはずだ。 しかし彦の元にはなどない。若い恋にいディナーをご馳している彼に、突然ローンの支払いがくのしかかるのだ。
さらに幸子の元には、私が渡したあのい封筒がある。
あの封筒のが何なのかをった、彼女はどんな顔をするだろうか。 私を貧乏神と呼び、見して笑った幸子。