"亡き娘の純金バングルを、義母は義妹の再婚費用にしようとした" 第3話
千恵子がすかさず作業員を鳴りつける。
「何言ってるの! く持ってきなさいよ! 契約には健太がサインしたでしょ!」
「待ちなさい」
私はちがり、作業員の目を見据えた。
「私は、この荷物の持ち主であった美咲の母親であり、すべての遺産を単独相続した法定相続です。ここにいる森健太さんにも、千恵子さんにも、これらの物品を処分する法権限は切ありません」
作業員の顔が変わった。
「えっ……ご本様、あるいは正当な相続様の同がないということですか?」
「そうです。無権限者による勝な売却処分です。古物営業法、盗品あるいは権利関係に争いのある物品の買い取りは禁止されているはずですが、このまま続きをめられますか?」
作業員は青ざめ、元のバインダーを抱え直した。
「い、いえ! そういうことでしたら、私どもはお引き取りします! 所権の確認が取れない取引はお受けできません!」
「ちょっと、待ちなさいよ! 違約取るわよ!」
千恵子が切り声をげるのを無し、作業員は逃げるようにをげて玄関からりっていった。バタン、とい玄関ドアが閉まる音が、静まり返った部に響いた。
リビングに残されたのは、私たちだけだった。
「……お袋、もういいだろ。恥ずかしいからやめろよ」
健太がようやくい腰をげ、ソファからちがった。
申し訳なさそうな顔を取り繕ってはいるが、その線は私の顔を直できず、宙を泳いでいる。
「恥ずかしい?」
私は健太に向き直った。
「健太さん。あなた、これが美咲の物だとっていて業者を呼んだの?」
「いや……ってたっていうか、奈緒がずっと片付けないからさ。部が狭くなるし、母さんも『いつまでも置いておくのはんだにも良くない』って言ってたから……」
「片付けないんじゃないわ」
奈緒が、に座り込んだまま、掠れた声で絞りした。
「私が……預かってたの。実にあるとお母さんが見るたびに泣いちゃうから……私が預かるって、あのお母さんに頼んだんじゃない……」
私の胸に、鋭い痛みがった。
そうだった。美咲が事故でくなった直、私はあまりのショックに寝込み、美咲の部に入ることすらできなくなった。そんな私を見かねて、「お姉ちゃんのいは私が切に取っておくから、お母さんは無理しないで」と、美咲の持ち物を自分のマンションへ引き取ってくれたのが、奈緒だったのだ。
それを、このたちは。
「……全部、確認させてもらいます」
私は奈緒の横に膝をつき、積まれていた別の段ボールのガムテープを指で引き剥がした。
番の箱をける。目にび込んできたのは、美咲が学代から用していたペリカンの万。図館の同僚たちから退職(結婚準備のためだった)に贈られた寄せきのアルバム。
そして、姉妹で旅へったに買った、違いのお揃いの鏡。
どれも、から見れば束文のガラクタかもしれない。けれど、ここにあるのは美咲がこの世界にきていた、温かい呼吸の痕跡そのものだ。
「……何が用品ですか。何がゴミですか」
喉の奥がくなり、涙が界を滲ませる。
「私の娘が、ので切にしてきた記憶です。それを、命の当に、母親の私にも無断で処分しようとするなんて……あなた方には、のというものがないんですか!」
千恵子がで笑った。
「綺麗事ばっかり言わないでちょうだい! んだはもう何も使わないの! いつまでも過に縋り付いてるから、奈緒さんもいつまでも子供ができないんじゃないの!?」
「お義母さん、それ以は――」健太がさすがに千恵子を制そうとしたが、千恵子は止まらなかった。
「いいじゃないの! 事実でしょうが! きてるの方が事に決まってるわ! 由梨ちゃんだって、これからしいを始める事ななのよ!」
また、由梨の名だ。私はちがり、千恵子のに詰め寄った。
「さっきから聞いていれば、由梨さん、由梨さんと……美咲の遺品を売ることと、由梨さんに何の関係があるんですか?」
千恵子はハッとしたように元を押さえ、線を自然に逸らした。健太も気まずそうにを掻いている。