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"亡き娘の純金バングルを、義母は義妹の再婚費用にしようとした" 第13話

私は奈緒と線を交わした。奈緒は唇を噛みしめ、さく頷いた。

「田さん、私は奈緒の母の子と申します。娘も隣におります。……昨夜の騒について、由梨さんからは何とお聞きになっていますか?」

話の向こうで、田さんがい息を吐きす気配がした。

『……由梨からは、「お義姉さんから結婚祝いに譲ってもらうはずだった真珠のネックレスを、急に母親が乗り込んできて奪い返された」「そのうえ、棒扱いされて座を求された」と聞かされました』

あまりの歪曲ぶりに、私のからたい嘲笑が漏れそうになった。棒扱いされたのは事実だが、座を求したのはどちらだったのか。

『ですが……』田さんの声が、微かにくなった。

『今朝方、由梨がSNSに投稿していたドレス姿の写真をすべて削除したのを見ました。それに、泣き叫んで取り乱す母と由梨の言い分には、どうにも辻褄のわない点がすぎるのです。……もしよろしければ、本の顔わせのに、私におをいただけないでしょうか。第者を交えず、おから直接、事実をお伺いしたいのです』

取り繕う様子も、威圧する気配もなかった。そこにあるのは、これからを共にしようとする相への、拭いきれない信と、事実を確かめようとする誠実な姿勢だった。

「わかりました」

私は迷わず答えた。「駅のホテルのラウンジでお会いしましょう。お見せしたい物がございます」

午。駅にあるシティホテルのティーラウンジは、休の昼ということもあり、静けさに包まれていた。

窓際の奥まった席に、ダークグレーのスーツを着た男性が、背筋を伸ばして座っていた。代半ば、引き締まった体躯と、誠実そうな眉根。私たちがづくと、男性は即座にちがり、くをげた。

「田です。急なお願いを聞いていただき、本当にありがとうございます」

「です。こちらが次女の奈緒です」

奈緒がおずおずとをげる。田さんは奈緒の顔をじっと見つめ、そのやつれた顔と、首に巻かれた湿布に瞬だけ目を留めたようだったが、何も詮索せず着席を促した。

席に着くと、田さんは自らをいた。

「単刀直入に伺わせてください。昨夜、体何があったのですか? 由梨は『結婚を壊される』と取り乱し、森の母は『奈緒さんに謝罪させなければ気が済まない』と息巻いています。しかし、私のる奈緒さんは、理由もなくを攻撃するような方ではないはずです」

奈緒は元で組んだ指をぎゅっと握りしめた。論で喚き散らす義母たちとは違う、理然とした問いかけ。私はバッグから、ひとつの革製のファイルを静かに取りし、テーブルのに置いた。

「田さん。私たちが申しげるのは、な悪ではありません。すべて、かしようのない事実と、証拠です」

私はファイルを広げ、から数枚の類と写真を取りした。

まず、枚の写真。の美咲が、本の老舗百貨の宝飾サロンで、あの真珠のネックレスを胸元にあてて誇らしそうに微笑んでいる姿。その横には、当の購入証と、保証の写し。付は今から、美咲自の名義で切られていた。

「このネックレスの本来の持ち主は、私の女・美咲です。美咲は、に慮の交通事故で界いたしました」

田さんの目が、微かに見かれた。

「美咲は、いつか自分が結婚式を挙げるのために、ボーナスを何も貯めてこの真珠を買いました。けれど、そのは叶いませんでした。あの子がくなった、すべての遺産は母親である私が単独で相続し、いの品の部を、妹である奈緒が自宅で切に預かっていたのです」

私は続けて、奈緒のスマートフォンを取りし、画面に保してあった由梨のSNSのスクリーンショットを提示した。

『国のお姉さんも応援してるって、健太兄ちゃんがプレゼントしてくれました』豪華なウェディングドレスの胸元に、美咲の真珠が巻かれている写真。

田さんの顔から、急速に血の気が引いていくのが分かった。

「……由梨は、私にこう言いました」田さんの声が、微かに震えていた。

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