"「ヒモ男」と笑われた夫と私に、88歳の祖父が深く頭を下げた" 第4話
「わしは退院する、病棟の師と、担当のケアマネージャーに直接話を聞いたんじゃ」
広の空気が、さらに段え込んだ。
「毎回の定期通院で、仕事を休んでをし、何も待で付き添ってくれていたのは誰だ?」
祖父の線が、私へと移った。
「急な発で夜に救急搬送された、駆けつけて同にサインをし、朝までを握っていてくれたのは誰だ?」
「……」
「薬の管理をし、介護保険の申請類を取り寄せ、役所と何度も掛けってくれていたのは……おか、達夫?」
叔父はを半きにしたまま、魚のようにパクパクと唇を震わせた。
何も言い返せない。
事実だからだ。
祖父の体調が崩れ始めたこの、休暇を使い果たし、夜の呼びしにタクシーで駆けつけていたのは、すべて私だった。
母はの運転ができず、腰も悪かったため、私がで背負うしかなかった。
叔父に相談の話をかけても、返ってくるのはいつも同じ言葉だった。
『今、事な接待なんだよ。ならでどうにかするから、おが適当にやっとけ』
そう言って話を切られ、病の廊で、涙を拭った夜が何度あったか分からない。
それなのに、叔父は親族が集まるでは決まってこう言っていたのだ。
『親父の病院関係は、全部俺の指示で完璧に回してるから』
祖父は私の顔を痛ましそうに見つめ、皺だらけので私のえ切ったを包み込んだ。
「希。おが会社でどれほど肩の狭いいをしてを取り、わしの病をしてくれていたか……わしは何もらんかった」
「おじいちゃん……」
「達夫が配してくれたものとばかりい込み、おに『ありがとう』の言もかけてやれなかった。……すまなかった。本当に、すまなかったな」
広のあちこちから、息を呑む音が漏れた。
さっきまで私を「見る目がない」「な孫」と嘲笑していた親戚たちが、居悪そうに線を泳がせている。
叔父のメッキが、音をてて剥がれ落ちた瞬だった。
額から滝のような汗を流し、叔父は握り拳をワナワナと震わせていた。
族の頂点に君臨し、会社の成功者として振るってきたプライドが、父親のたった言で々に砕されたのだ。
だが、この男がこのまま引きがるはずがなかった。
「……っ、親父!」
叔父はひっくり返りそうな声を張りげ、無理やりに顔の筋肉を歪めて笑ってみせた。
「勘違いしないでくれ! 俺だって会社の経営で忙しいを縫って、裏でいろいろを回してたんだ! 希が伝ってくれたのは助かったが、それは孫として当然の務めだろうが!」
見苦しい言い訳に、親戚たちのからも失笑に似た気まずい空気が漏れる。
叔父はその線から逃れるように、血った目をギラリとらせて、標を悠真へと変えた。
「そうだ、いいことをいついた」
叔父はをポンと叩き、わざとらしい親しみやすさを装って悠真にづいた。
その目の奥には、獲物をいたぶり殺そうとするサディスティックなが宿っていた。
「悠真くん、だったな」
「はい」
「君、今は仕事をしてないんだろう? にたっぷり余裕があるわけだ」
嫌な予が、背筋を駆けがった。
叔父は満そうにの端を吊りげ、広全員に聞こえるように朗々と宣言した。
「ちょうどいいじゃないか! 男が昼からで遊んでるくらいなら、これからの親父の通院の送り迎えや役所の続き、用品の買いしは、全部君たち夫婦で引き受けろ」
「……は?」
わず声がた。
何を言っているの、このは?
叔父は私の抗議を無して、さらに畳み掛ける。
「希も、入籍したからって親族の義務を放棄するんじゃないぞ。毎週末は必ず親父のへ通って、飯の作り置きと掃除、洗濯を全部やれ。それが藤森の嫁……いや、孫としての筋ってもんだ」
「待ってください! どうして叔父さんにそんなことを勝に決められなきゃいけないんですか!」
私がちがろうとすると、叔父の妻である理恵が、甲い声で割って入ってきた。
「ちょっと希ちゃん、目のに向かってその態度は何よ!」
理恵は扇子で元を隠しながら、勝ち誇ったように私を睨みつけた。
「悠真さんだって、このにタダで転がり込んできたようなものじゃない。