"「妻も了承した」夫が勝手に約束したのは、亡き母のマンションだった" 第2話
の結婚活で、形を変えて何度も浴びせられてきた言葉。 けれど、私のは波つどころか、急速に温度を失っていくだけだった。
義母に言い返す気にもならなかった。 私は静かに首を巡らせ、夫の横顔を見つめた。
自分の母親が、目ので妻の尊厳をで踏みにじっている。 このは、どうするのか。
「悟さん。あなたも、お母さんと同じ見なの?」
夫の喉仏が、さくした。 あのは私と目をわせようとせず、畳の継ぎ目を見つめたまま、ぽつりと呟いた。
「……母さんは言い方きついけど、言いたいことは分かるよ。奈美も、そんな角をてるなよ」
背筋に、たいものがった。
期待していたわけじゃない。 それでも、夫婦として最の良を見せてくれるのではないかという淡い望みは、自らので々に打ち砕かれた。
このは、母親の暴言を「言い方がきついだけ」と庇い、私にを被せたのだ。 自分だけが「族いの優しい息子」で居続けるために。
「は朝から事な予定がありますので、これで失礼します」
私はちがり、鞄をに取った。 背で義母が「逃げる気かい!」と叫び、綾子さんが狼狽した声をげたが、度も振り返ることなく玄関をた。
翌朝、午。 私は駅の産会社の契約ルームに座っていた。
テーブルのには、登記事項証、印鑑証、権利証、そして母の部の鍵。
残代の着確認が淡々とめられていく。
母がくなった、遺品のから見つかった通のがある。
『は、の価値を決める具ではありません。あなたが自分のでつ所を選ぶためのものです。んでもいい、貸してもいい、売ってもいい。決めるのはあなたです』
母もまた、若い頃に嫁ぎ先から「ろくなものを持ってこない嫁」と侮辱されただった。 だからこそ、私を誰かのに差しす産にしたくなかったのだ。
「続きはすべて完いたしました。所権の移転登記を申請します」
担当者の言葉に、私はく礼した。 母のいが詰まった資産は、これで完全に守られた。 誰の干渉も許さない、揺るぎない事実。
ビルをて喫茶に入り、鞄の奥で鳴り続けていたスマートフォンをいた。 百件の着信履歴。 義母からの号を切り落とした、私は族のグループLINEをいた。
切のを交えず、事実だけを打ち込む。
『母から相続したマンションは、予定通り本午に決済と引き渡しを完しました。所権は正式に買主様へ移転しています。 私は最初から、あの部を無償で貸す約束は切していません。 今、管理会社やしい所者様へ連絡することは絶対にやめてください。確な迷惑為となります』
送信した瞬に、全員の既読がついた。
直、夫から個別のメッセージが届く。
『今すぐに帰ってこい』
命令するようない言葉。 返信はしなかった。めた茶をみ干し、私は夕方まで静かにを過ごした。
夜の過ぎ。 玄関のドアが乱暴にく音がした。 荒々しい音とともに、夫がリビングへ崩れ込んでくる。
ネクタイを緩め、顔を真っ赤にして私を睨みつけた。
「お、本当に売り払ったのか!?」
私はダイニングの子に座ったまま、静かに見げた。
「ええ、売ったわよ」
「俺に何の相談もなしにか! 族を何だとってるんだ!」
鞄をに投げ捨て、夫が目のに詰め寄ってくる。
「相談はしたわ。最初に売るって言ったとき、あなたが『奈美の名義だから奈美が決めればいい』って言ったじゃない」
「それはの話だろうが! 状況が変わったんだよ!」
「誰の状況が変わったの?」
私のややかな声に、夫は苛たしげに両を振り回した。
「姉ちゃんと真紀だよ! あいつら今、引っ越しの見積もりを取るために現へって、管理から『持ち主が変わった』って言われてどれだけパニックになったか分かるか!? 母さんだって寝込んでるんだぞ!」
……は?
昨の今で、もう見積もりを取って現へ乗り込んでいた? 鳥肌がつほどの勝さに、息が詰まりそうになる。
「私が度でも、んでいいと言ったかしら?」
「族が困ってるんだから、融通を利かせるのが当たりだろう! 空いてるがあるのにに売りばすなんて、おにはのがないのか!」