"離婚半年後、元夫が15年前の弁当箱を抱えて訪ねてきた" 第20話
「分かっているよ。のゴミしは私の当番だし、夕飯の買い物も私が担当だ」
で顔を見わせ、声をてて笑った。
誰かに所されることのない、自由で誇りい結婚。
歳にして、私はようやく、本当のでのの舵を握り直したのだ。
翌朝、曜。
スマートフォンのアラームが鳴るの、午半。
カーテンをけると、やわらかなのが、私の畳のアパートいっぱいに差し込んできた。
今は、古の改装オープン記のだ。
階のコミュニティスペースの完成を祝して、誠さんと遥ちゃん、そして改装を伝ってくれた域のたちを招いて、ささやかな昼会をくことになっていた。
私はお気に入りのリネンのエプロンを締め、キッチンにった。
誰かに制された起きではない。
誰かの嫌を取るための義務でもない。
私自が、美しいものを切なたちと分かちいたいから、この所にっている。
まな板のに、鮮な青菜を置く。
トントントン、と。
包丁が刻む軽なリズムが、静かな朝の部によく響き渡る。
湯気のつ鍋から、丁寧に取った鰹と昆布の汁の、豊かなりがちった。
コンコン、と。
控えめなノックの音とともに、アパートの鍵がく音がした。
鍵を渡してある誠さんが、袋を抱えて入ってきたのだ。
「おはよう、美紀さん。かったね」
「おはようございます。いい卵がに入ったから、先に汁巻きを巻こうとって」
誠さんはコートを脱ぎ、自分のエプロンを腰に巻くと、自然な取りで流し台のにった。
「私も伝うよ。何をすればいい?」
かつての私なら、「座って待ってて」と言っていただろう。
相を気遣うふりをして、すべての労力をで抱え込み、勝に疲弊していたはずだ。
けれど今の私は、迷うことなく棚からもう枚ののまな板を取りした。
トントン、と、私のまな板の隣にそれを並べて置く。
そして、よく研いだペティナイフを、柄を誠さんに向けて差しした。
「じゃあ、誠さんはそのミニトマトのヘタを取って、気を拭いてください。それから、そこのキュウリを斜め切りに」
「解。任せてくれ」
枚のまな板が並ぶ、さなキッチン。
私の包丁の音と、誠さんが野菜を刻む器用な音が、なりってつのリズムを刻んでいく。
隣で真剣な顔をしてキュウリを切る誠さんの横顔を見つめながら、私はふと、あのの片をいしていた。
『毎お弁当作るね。ふたりで緒に、おじいちゃんとおばあちゃんになるまで』
あの頃の私は、とは方に尽くし続けることだと信じていた。
相のために自分を削り、相のためにすべてを捧げることが、女の美徳なのだとい込んでいた。
けれど、それはではなく、ただの隷属だった。
本当のとは、枚のまな板を並べることだ。
お互いに自分の包丁を握り、自分のでち、同じ卓に向かってそれぞれのをかすこと。
どちらかが方の荷になるのではなく、つの独したが、寄り添いながらつの温もりを作っていくこと。
「美紀さん、キュウリ、これでいいかい?」
誠さんが誇らしげに差ししてきた鉢には、し揃いだけれど、丁寧に切られた緑の輪が並んでいた。
「完璧です」
私は微笑み、した卵焼き器に、黄の卵液を静かに流し込んだ。
ジュウ、と。
ばしい汁のりが弾け、の柔らかなのに、まっすぐにちっていった。