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"手切れ金百万、消えた一億三千万" 第7話

すでにあなたの個名義座、ならびにあなたが現おまいの港区芝浦のタワーマンションのに対する仮差押え決定が、京裁から発令されていますわ」

「あれは……! あれは、航平さんが『僕たちの将来のための活準備だ』と言って、自発に振り込んできたものなんです!」

梨は突然顔をねげ、掠れた切り声を絞りした。周囲の優雅な客たちが僅かに眉をひそめてこちらに線を向けたが、彼女にはそれを取り繕う余裕すら残されていないようだった。

「私は騙されていたんです! 彼は私に、奥さんとは完全にえ切っていて、婚協議もすべて終わっていると言っていました! 実質にはもう独と同じだから、僕の会社の役員になってほしいと……! 私は被害者なんです!」

「被害者?」

私の唇から、たい嘲笑が自然と零れ落ちた。

「往際が見苦しいわね、条さん」

私はバッグのファスナーを静かにき、属製の型ボイスレコーダーを本取りすと、のの理テーブルの央へと滑らせた。

梨の線が、そのさな黒い械に吸い寄せられるように凍りついた。

カチリ、と静かな操作音がラウンジの空気を裂いた。

スピーカーから、音と器の擦れう微かなノイズに混じって、あの鎌倉の料亭の奥座敷で録音された、甘ったるくも傲な女の声が、鮮な音質で再された。

『はじめまして、元奥様。航平さんからお話は伺っていますわ。経理の計算だけはお得だったんですって? でもこれからは、私が航平さんの会社もプライベートも、すべて完璧に支えていきますから』

『いいじゃない、航平さん。どうせきのない女の、惨めな負け惜しみよ。今夜は私たち、本の級フレンチでお祝いのフルコースを予約しているんですもの。放っておきましょう』

録音された自分自の声を聞いた瞬、梨の顔面から急速に血の気が引いていった。赤く塗られていた唇がに変し、彼女の全が激しい悪寒に襲われたかのようにカタカタと音をてて震え始める。

「……あ、これ……は……」

「鎌倉のあのにおいて、あなたは私に対し、航平さんとの婚姻関係が法に続している事実を正確に認識したで、あからさまな侮蔑の言葉を投げかけました」

私は音声を止させ、氷のようにややかな声で言葉をねた。

「さらに言えば、あなたがその指にはめているカラットのハリー・ウィンストンの指輪。購入は先、引き落とし座は私が神崎デザイン事務所に融資した決済座です。あなたは航平さんが責配偶者であることをりながら、その財産を図に収奪し、私な贅沢に浪費した。民法第百条に基づく法為の成件である『故および主観悪』は、この音声と送履歴によって百パーセント証されています」

「そ、そんな……そんなつもりじゃ……!」

「さらに申しげましょうか。あなたのその、元についても」

私はバッグからもう通のい封筒を取りし、テーブルのへ放りした。から覗いたのは、私探偵事務所が作成した詳細な元調査報告だった。

「あなたの言う『投資ファンドのアジア代表を務める名な実業の父』とは、体どなたのことかしら? 静岡の清港で、かつて古の輸ブローカーを営み、に億円の負債を抱えて破産宣告を受けた条正造氏のこと?」

梨の喉から、ヒッ、というい引き攣った呼吸が漏れた。

「実の産は競売にかけられ、ご両親は現、の郊にある賃万円の古い平で、借取りの目を盗みながら暮らしをしていらっしゃる。あなた自も、座の級クラブでホステスをしていた頃、複数の客から寸借詐欺まがいの銭トラブルを起こしてを追放されているわね。

航平さんをターゲットに選んだのは、彼が世田に豪邸を持ち、羽振りのいい青実業だと誤認したからでしょう?」

梨は両で顔を覆い、指の隙から粒の涙をポロポロと零し始めた。

「……違う……私は……ただ、あんな惨めな活に戻りたくなかっただけ……! お持ちの奥さんになって、見返してやりたかっただけなのに……!」

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