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"手切れ金百万、消えた一億三千万" 第8話

「の庭をで踏みにじり、が築きげた血と汗の結晶を掠め取ることでしか得られない幸せなど、この世にはしません」

私は切の容赦を排除した事務なトーンで、最終な通告を突きつけた。

「返還期は、今末。当利得千百万円、ならびに貞為に伴う慰謝料千百万円の計千百万円を、私の指定座へ全額括で送しなさい。

円でもした、即座に港区のタワーマンションの競売続きを始し、同に、業務横領および詐欺の共犯として、警庁へ正式に刑事告訴状を受理させます」

「む、無理です……! そんな、今すぐ用できるわけがありません! マンションだって、まだローンの残債があるし、指輪やバッグを質に入れたって、せいぜい千万円にもならない……! 刑務所になんて入りたくない……助けてください、栞先!」

梨はちがり、テーブルにを乗りして私のに縋り付こうとした。

私はそのきを予見し、を引いてややかにかわした。

彼女の伸ばした指先が、空しく理の板を爪で引っ掻く。

「助ける筋いなど、私にはありません。あなた自が蒔いた毒の種です。その苦い実を、最の粒まで自らので噛み砕きなさい」

私は伝票をに取ることすらなく、元の名刺入れから千円札を枚抜き取ってテーブルのに置いた。

「もを付けていない茶の代です。これ以、あなたと共するはありません」

私は子をち、背筋を真っ直ぐに伸ばしたまま、度も振り返ることなくエグゼクティブラウンジの自ドアへと歩みをめた。背から、に崩れ落ちた女の、獣のような嗚咽が微かに漏れ聞こえていたが、私の取りが乱れることは瞬たりともなかった。

ホテルをた私のスマートフォンに、佐々弁護士からの着信が入ったのは、それからわずかのことだった。

「栞さん、神崎デザイン事務所の件、きくきました」

佐々弁護士の声は、張り詰めた緊張と、確信に満ちたみを帯びていた。

「先ほど午分、警庁捜査課が、神崎航平氏を業務横領および私文偽造・同使の容疑で通常逮捕いたしました。現、表参のオフィスおよび世田の旧本宅に、捜査員による宅捜索が入っております」

「……逮捕されたのですね」

「ええ。決定打となったのは、彼がメインバンクである都信託に対して提していた、栞さんの実印と偽造委任状を用いた追加融資の申請類です。側が内部監査を経て正式に告訴状を提したため、警察も迅速に柄拘束へ踏み切りました。また、請けの印刷会社やフリーランスのデザイナーたち数名からも、代未払いに関する詐欺罪の集団告訴が受理されています」

私はハイヤーの部座席で静かに目を閉じ、く息を吐きした。

神崎デザイン事務所の破滅は、私が資を引き揚げた瞬から、ドミノ倒しのように加速していったのだ。

あの、メイン座から億千万円の貸付が回収されたことで、事務所のキャッシュフローは即座に止した。末に決済されるはずだった注費千百万円はすべて渡りとなり、形交換所からの警告がされた。

激した請け業者たちが表参のオフィスへ押し寄せた際、航平は自の社に鍵をかけ、震えながら机のに隠れていたという。さらに、私が信用保証かられたことを受けた都信託が、千万円の括期繰りげ返済を求めて債権回収チームを送り込んだ。

航平はパニックに陥り、あろうことか、事務所の庫に残されていた私の旧姓の認印や、過の契約の印をスキャンして偽造した保証承諾を作成し、別のノンバンクから千万円の利の融資を引きそうと画策したのだ。だが、その稚拙な偽造作は、すでに警戒網を敷いていた融関のコンプライアンス審査によって瞬に見破られた。

「保釈の能性はありますか?」

私の問いに、佐々弁護士はくを鳴らした。

「あり得ませんね。

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